【連載】化粧品各社のイノベーション研究【26】アジュバンコスメジャパン② ~MAPシステム導入しサロン経営を指導、品川に研究所、処方開発目指す~

2016.05.31

特集

編集部

アジュバンコスメジャパンの化粧品販売は、同社が直接サロンに販売または代理店経由で商品を販売するとともに、サロンを通じて消費者へカウンセリングによる販売を行っている。その意味で、同社にとっては、サロン経営の良し悪しが化粧品事業の業績を大きく左右することになる。

MAPシステムによるサロン経営サポート図現在、サロンへの経営をサポートするコンサル活動の重要なツールとなっているのが、サロン経営サポートシステム「MAPシステム」(図・MAPシステムによるサロン経営サポート)だ。
MAPシステムは、アプリケーションの提供やデータ管理などについて、全てウェブを通じて行うクラウド型コンピューティングシステム。サーバーの保守管理費は有料だが、ソフト使用料は無料。

MAPシステムの主な機能は
①顧客管理機能(予約受付、顧客管理、スタッフ)
②WEB機能(WEB予約、メール配信、ショッピングサイト)
③経営分析機能(売上・在庫管理、経営分析、勤怠管理)など
同社がMAPシステムをサロンに導入したのは、サロンの経営を分析し、戦略を立案するなどのコンサル活動を行うことで、サロンの収益向上に繋げる狙い。

このMAPシステムは、同社がソフト会社「エクシードシステム」に委託して開発したもので、2010年からサロンに導入し、サービスの提供を行ってきた。
同社はここへきて、エクシードシステムを買収(2016年5月)し子会社とした。買収の理由は、MAPシステムのビッグデータ化を図るとともに、機動的なシステム開発及び導入サロンへのアフターフォローを徹底することで、コンサル営業の強化とグループ企業の業績向上に資するとの考えによる。

研究開発の面でもイノベーションを起こし、2015年10月に東京都品川区に研究所を開設した。
ファブレス企業の同社が品川の研究所(当初のスタッフ5名程度)を開設したのは、自社で処方を開発することで、ヘアケア、スキンケア製品の企画・処方の費用負担を削減する狙い。同社は「製造委託先への支払額を現状よりも10%程度、削減したい」として、できるだけ早い時期に処方開発にメドをつけ原価削減に繋げる方針。

同社の研究開発投資額は、2014年3月期4300万円(総売上高に占める割合0.9%)、2015年3月期5400万円(同1.2%)となっている。

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