【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【17】アンチエイジングペプタイド① ~阪大発ベンチャー設立、ショートペプチド活用の化粧品・育毛剤開発へ~
2016.09.15
編集部
大阪大学の教授らが参画して、今年4月に阪大発ベンチャー「アンチエイジングペプタイド株式会社」(大阪府茨木市、社長橋弥尚孝氏)を設立した。
新規機能性ショートペプチド(図)を活用して化粧品・育毛剤などを開発するショートペプチドの設計・製造プラットフォーム事業を展開する。
大阪大学大学院医学系研究科の教授らが取り組んできた新規機能性ショートペプチドを活用した化粧品・育毛剤などを事業化する目的で設立したもの。
大阪大学の教授は事業会社の役員として参画し、大学で研究開発した5-20残基の天然あるいは非天然アミノ酸からなるショートペプチドの活用と化粧品など、さまざまな用途開発に利用できる技術基盤「設計・製造プラットフォーム」の技術移転と技術指導を行って事業化を促進する。また、起業家にあたっては、バイオ・サイト・キャピタルが事業プロモーターとなって起業支援を行ってきた。引き続き、同キャピタルの支援を受けながら事業育成を進める計画。
ところで大阪大学教授らが取り組んできたショートペプチドを用いた化粧品・育毛剤の開発は、2013年に文部科学省の「大学発新産業創出拠点プロジェクト」に応募した「アンチエイジング効果のあるショートペプチドを用いた化粧品・育毛剤の開発」として採択された。
同拠点プロジェクトは、国内の大学の基礎研究成果に関し、大学発ベンチャーなどを通じた新規マーケットへの事業展開が十分に行われていない現状を踏まえて2012年度に創設された。同制度は、2015年度から文科省所管の独法科学技術振興機構(JST)が窓口になって実施している。
この採択を機会に大阪大学は、機能性ペプチドの事業化に向けた取り組みを開始し、2013年から2016年の3年間で、機能性ショートペプチド候補を複数配列設計して化粧品としての安全性・有用性の総合評価を実施。さらに、アンチエイジングの観点から肌の潤い・張り、活性化が期待できる候補ペプチドをヒアルロン酸合成能(肌への潤い)、並びにコラーゲンの収縮能(しわ取り)などを指標に見出した。
これらを踏まえて今年4月に事業会社を設立した。
これらの有望なペプチドに関しては、すでに複数の化粧品会社とも共同研究開発を行っている。その中には、2017年の商品化を目指した開発研究を進めているペプチドも含まれている。
今後は、大阪大学で創生した機能性ペプチド及びその改変体などの機能評価面でユニークな活性を有していることから、この機能をうまく活かし新しい角度からの化粧品・育毛剤開発を生み出す原動力になると期待されている。