【連載】美容漢方~漢方の新たな市場を創出~【1】聖心美容クリニック、薄毛のお悩みや術後ケアにも力を発揮する漢方(下)
2016.12.7
編集部
ダイエットを続けるには高いモチベーションが必要だ。聖心美容クリニックの美容漢方外来では、漢方薬だけに頼らず、各種の美容施術を組み合わせて痩せるためのサポートを行っている。
例えば、キャビテーションシェイプ、インディバCET、輪郭注射、リポセルなどを用意しており、こうしたメニューを選択することで、どうしても気になっていた部位を改善できれば、モチベーションもアップ。「子供の勉強と同じで、一度やる気になりさえすれば周りが介入する余地もなく、自立的に問題が解決する。そこの方向付けができるかどうかが私の役割」(西田氏)として、患者に寄り添ったサポートを心掛けている。
内臓脂肪に対しては漢方薬は有効だが、皮下脂肪については漢方薬や運動でも脂肪を落とすのが難しいという。「よく預金に例えるのだが、内臓脂肪は普通預金、皮下脂肪は定期預金。取り崩しやすいのは内臓脂肪の普通預金だが、皮下脂肪は使われるのが先の話になる。だから、改善しにくい皮下脂肪は西洋医学的なアプローチで応援していくことが必要だ」(西田氏)。
西洋医学的処置の後、溶けた脂肪は肝臓で代謝するために、肝機能を上げる措置をとる。具体的には、患者によって対処法は異なるが、大柴胡湯と桂枝茯苓丸を合わせて飲んでもらうケースもあるという。
美容漢方外来では、漢方だけで治療するケースは少なく、西洋医学的処置とのコンビネーションで治療を受けることが多い。身体全体の状態を診つつ、西洋医学的施術を組み立てていけるところに、同クリニックの特色がよく出ていると言える。
近年、薄毛で来院する患者も増えている。「女性の薄毛の原因は多岐にわたっており、何か一つ治療すれば治るものではない。複合的治療が必ず必要」(西田氏)。漢方的には「髪為血之余」(髪は血の余り)という言葉があるように、“血虚”の患者が多く、爪も脆かったり、月経などに問題があったりするという。
毛髪の問題については、外用なども組み合わせて対応。西田氏の提示するいくつかのメニューの中から、患者の要望に合わせて柔軟に治療を行っていく。まずは、最初の2カ月間は副作用がないか確認する。その後、ボリュームがある程度満足に至るかどうかは「少なくとも半年はかかる」(西田氏)。中には、髪より爪が先に丈夫になるという患者もおり、本人が気にかけている部位とは違う部位の変化に気づくという。
現代はストレス社会と言われているが、ストレス由来の円形脱毛症で来院する人は思いのほか少ないようだ。西田氏の経験からすると、体質に問題があるとも考えられるほか、カラーやパーマなどのケミカル的なダメージが効いていると感じることも多々あるという。いずれにせよ、メディアなどの情報に触れて「薄毛も治療の対象なのだと気づいてもらえるようになったのは、患者にとっての福音だ」(西田氏)。
美容漢方外来の3つ目の柱である術後ケアとは、脂肪吸引やフェイスリフトなどの美容外科手術後の経過を良くするもので、回復を早める狙いがある。例えば、二重まぶたにした後に、むくみ・腫れを早く改善したいというニーズがあり、その場合に五苓散や西洋ハーブ薬「SINECCH」などを処方したり、あるいは内出血の改善に桂枝茯苓丸などを処方したりする。
美容外科手術では、熱エネルギーを利用して結果を得ることが多いため、焼けどになる前に回復させる処置が必要。そこで、術後のダウンタイムを短くするのに漢方薬が役立っている。
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