【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【45】ベル・クール研究所② ~北海道の天然素材開発等に力、地元の銀行系VCが出資~
2017.01.13
編集部
ベル・クール研究所がベンチャー的発想としてこだわっているのが、化粧品の安心・安全の確立。そのため、同社が化粧品を開発するにあたって、合成防腐剤、抗酸化剤、香料などを一切使用しない自然由来の無添加主義を貫く。
創業時に柴田代表がサプリメント等の研究をしていた時、国内で女子顔面黒皮症などの化粧品被害問題が起き、それを契機にして「人の肌に使用するものは、絶対に安心でなければならない」と無添加主義を貫いてきた。
通常、化粧品には、化粧品を長持ちさせるために、パラベンなどの合成防腐剤や乳化剤として合成界面活性剤等が使用されている。合成界面活性剤を使用した化粧品は、2年、3年経っても腐敗する事はない。
しかし、このような合成防腐剤は皮膚にとって大敵で、「自己の皮膚を守ろうとして肌は固く厚くなり、シミ、シワの原因になっている」と指摘する(写真・肌診断)。
同社は、そうした肌に悪影響を及ぼす界面活性剤等を使用しないで、自然界の植物、鉱物資源から抽出した天然由来の成分を使って化粧品を開発することにこだわりを見せる。特に、研究所での研究開発に力を入れているのが、北海道の天然由来素材から抽出した化粧品成分としてマリンプラセンタ(鮭卵巣膜から抽出・精製)や水溶性プロテオグリカン(サケの鼻軟骨から抽出した成分)、白樺の樹液などの北海道産原料の研究開発。また、ブドウ果実細胞エキスをイソマルト乾燥させたナノ原料の果実細胞(幹細胞)や医療用精油を使用した予防医学専用のオイル、クリームなどの開発にも力を入れて取り組むなどベンチャーとしての技術開発力には、他社も一目を置く存在。
こうした化粧品開発の高い技術力やノウハウ海外ビジネスの展開などが地元の銀行系キャピタルから評価を受けて、出資を実現した。
同社に出資(2016年5月)したのは、北洋銀行系列のベンチャーキャピタル「北洋イノベーションファンド」で、出資額は1000万円。同社は、事業資金に充当する。
同社の事業規模は、売上高約3億円、社員約21名と見込まれるが海外との取引に実績を積んでいることから、国内OEM事業者などからの海外販売の依頼が増えてくるのは必至の状況。
この強みを前面に押し出して受注につなげていくことが羨望される。また、今後、ヘルスケアや医療分野のビジネス領域を伸ばす方針で、着実に業績を積み重ねていくものとみられる。