【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【53】ファーメンステーション② ~復興庁の新商品開発事業に採択、クラウドファンディングで資金調達~
2017.02.23
編集部
ファーメンステーションは、オーガニックコスメやアロマオイルなどのメーカーに米から作ったエタノールを原料として販売するとともに、オリジナル化粧品の開発にエタノールを配合して商品化し、全国の高級雑貨店、オンラインショップなどで販売を行っている。
現在まで自社製エタノールを配合してオリジナル化粧品を開発し、市場投入しているのは、消臭剤「コメッシュ」や蒸留過程でエタノールと同時にできる米モロミ粕や麹などを原料とした石鹸「奥州サボン」がある。
消臭剤「コメッシュ」の消臭実験では、ニオイのもとと言われる酢酸(汗、排せつ物、タバコ、加齢などによるニオイ)の臭気成分の除去試験を行った。
消臭実験(図)は、10リットルのバッグに入れた臭気成分ガスにコメッシュを噴霧し、一定間隔でバッグ内の臭気成分濃度を検知管により測定した。その結果、ニオイに対し即効性のある消臭効果が出た。また、高級雑貨店での「コメッシュ」と「奥州サボン」の評価は「成分の良さ、安全性等がエコや無添加を好む女性に受けて人気が高まっている」という。
この2化粧品に続いて、2016年4月に桃の天然香料を使用した乳液「ピーチカーネル」を開発した。人工香料を使わず、桃の種のエキスで香りを出す技術を開発し、商品化に繋げた。
原料の桃は、福島県の農家と提携し、福島県産の未利用桃の有効活用を図る狙いでアルコール発酵(桃のエタノール)させて新しい化粧品開発を実現した。
同社が福島県の地域農家と連携を図って取り組んだピーチカーネルの新商品開発は、復興庁が推進している「2016年度企業連携プロジェクト支援事業」に採択された。
現在、オンラインショップやセレクトショップ、百貨店などの店頭で販売するための販路開拓に力を入れている。
同社の売上高は数千万円と見込まれているが、人材の新規採用やバイオエタノール原料の開発や新商品開発の推進、販路開拓など先行投資に要する資金は旺盛。
このため拡大する事業資金を調達するため同社は現在、クラウドファンディング( インターネットサイトを通じて共感した投資家から広く資金を集める方法)による資金調達に取り組んでいる。
果たして同社が描く中長期の経営羅針盤に投資家がどの程度、賛同してくれるか、気にかかる要点である。