【連載】医薬・創薬企業の化粧品事業①ロート製薬、化粧品事業の売上が66%占める
2017.06.1
編集部
目薬で名をはせるロート製薬株式会社(大阪府大阪市)は、100年の歴史を誇る老舗企業。1899年(明治32年)に創業者山田安民氏が大阪で信天堂山田安民薬房を創業したのが始まり。今では、スキンケアなど化粧品事業の売上高が総売上高(2017年3月期)1545億9900万円の約66%、金額で1018億4400万円にのぼるなど化粧品メーカーに一大変身を図っている。
前期において同社の中軸商品「肌ラボ」シリーズが競争激化の余波を受けて減収となった。しかし、男性用デオドラントブランド「デ・オウ」(写真)が好調だったことに加え「メラノCC 薬用しみ集中対策美容液」など、インバウンド需要に伴う売上が順調だったこと。さらに、内服・食品関連品も漢方ブランド「和漢箋」から女性の悩みに応える新シリーズ「ツラレス」などの販売が奏功して売上増加に繋がった。
同社の化粧品事業が成長軌道に乗ったのは、2000年代初めからで「オバジ」(2001年販売)や「肌ラボ」(2004年販売)を市場に投入してから。
市場投入した当時、1000円以下で購入できるスキンケア商品として女性から圧倒的な支持を受けて価格破壊を起こすなど、業界に一石を投じた。
こうした2商品を中軸にして急速に化粧品事業が伸長し、現在、2000年当初に比べて約4倍から5倍の成長を達成している状況にある。
一方、海外市場においては「アメリカ」を主にメンソレータム本社が担当。また「ヨーロッパ」を主にメンソレータム社・イギリスが担当、「アジア」をメンソレータム社・アジアパシフィック及びメンソレータム社・中国並びにその他の現地法人が担当する拠点網を組み、アイケア関連(目薬、洗眼薬等)、スキンケア関連(外皮用薬、リップクリーム、日やけ止め、機能性化粧品等)の製造・販売を行うなど米市場での売り上げを伸ばしている。
しかし、ここへきて同社は、化粧品事業が好調なうちに新規分野に進出し、さらなる成長・発展を図る方針。
その新分野への挑戦が再生医療への進出。同社がなぜ再生医療に挑戦するのか。理由は2つある。
1つは、再生医療に欠かせない「細胞を扱う技術」と「無菌製剤技術」を持っていること。目薬やスキンケア製品の研究開発で築いた礎が、新規事業を支える基盤になり得るとの考えによる。
すでに「脂肪由来間葉系幹細胞」に着目した研究に着手しており今後、創薬、再生技術を応用した化粧品ブランド等の開発などを実現していく方針。