【特別企画】大手各社の化粧品事業戦略に迫る[7] 味の素・直営店に力、グローバル市場調査も視野
2013.07.17
編集部
味の素・直営店に力、グローバル市場調査も視野
味の素がアミノ酸の保湿成分機能に着目して化粧品の原料として販売を始めたのは、今から40年前の1970年にさかのぼる。以来、現在まで世界50ヵ国、3,000社を超える化粧品メーカーにアミノ酸を供給するなど化粧品原料メーカーとして不動の地位を確立した。
1997年には、アミノ酸の多様な栄養、生理機能などを見出しながら化粧品への応用開発に取り組んでいたアミノサイエンス研究所がアミノ酸入りのアンチエイジング(抗齢化)化粧品「ジーノ」(商品名)を開発した。
2010年10月に9研究所を3研究所に集約したことに伴い現在、化粧品原料の探索、発酵素材、精製技術などの研究開発は、バイオ・ファイン研究所で行っている。
同社が化粧品事業に本格的に進出したのは、2003年7月に化粧品名と同じ社名の子会社ジーノ株式会社を設立したことに端を発する。化粧品名(ブランド名)と社名の「ジーノ」は、味の素(AJINOMOTO)発の化粧品であること。同時に、アミノ酸が太古の昔に海で生まれた生命の起源と言われている事からギリシャ神話に登場する海の守り神「イノー」にあやかって命名した。同時に、化粧品の0EM(相手先商標)や化粧品素材などの製造・販売(輸入含む)を子会社味の素ヘルシーサプライ株式会社(1935年宝製薬として発足、2005年現社名に改称)が行う体制を敷き現在、バイオ・ファイン事業本部が統轄部門(司令塔)となり子会社2社を中心に化粧品事業を推進している。
味の素の2013年3月期決算(連結)でバイオ・ファイン事業における香粧品(化粧品)、ケミカル、電子材料などの化成品売上高は、合計382億円にのぼる。ケミカルと電子材料は、前年割れの一方、香粧品は、増収を実現した。
子会社2社による香粧品の売り上げベース、売り上げ比率について同社は「非公開」として明らかにしていない。
今年1月で化粧品の販売を始めてから満16年を迎えた子会社ジーノは、現在、通販中心に事業を展開。昨年には、15周年記念キャンペーンを大々的に実施した。同時に、現在。東京、大阪、横浜に直営店(ジ―ノサロン=画像)4店舗を開設し、肌診断機を用いて顧客の肌分析による顧客対応、商品販売を行っている。また、大震災ボランティア活動としてジーノ美容教室を被災地で開催、被災者から大きな感銘を受けるなど引き続き美容教室を開催して行く方針。
バイオ・ファイン事業本部では「ジーノサロンでの顧客対応、サービスの提供法などを含めて直営店に力を入れるほかグローバル市場を視野にマーケット調査を検討して行きたい」として子会社ジーノが国際市場で市場調査に乗り出す方針。
同社は2011年4月から2014年3月までの中期経営計画を推進中。この3ヵ年計画でオープンイノベーションの推進を掲げて香粧品分野での提携を促進する意向。
同社は「今のところ提携は、何も聞いていない」としているが顧客ニーズを知る企業との用途開発や問題解決を図る企業との提携が視野に入っていると見られる。