【特別企画】大手各社の化粧品事業戦略に迫る[3] 昭和電工、中国向け輸出、現地生産近く認可

2013.07.10

特集

編集部

昭和電工、中国向け輸出、現地生産近く認可

化粧品の良し悪しを左右するのは、原材料に負うところが大きい。昭和電工は、1980年代後半から新機能性化粧品原材料の開発を進めてきた老舗。年内に新製品を投入して拡販を図るとともに中国への輸出、現地生産・販売を目論むなどグローバル化に拍車をかける。2020年度までに機能性化粧品原材料の売り上げを現在の2倍、約30億円に持って行く方針。

同社は現在、化粧品や医薬部外品に使われる水溶性ビタミンC誘導体「APM」「APS」や水溶性ビタミンC誘導体「アプレシエ」、水に溶けるビタミンE誘導体「ティーピーエヌエイ」、アミノ酸系パーマネント用剤など7品目の機能性化粧品原材料を市場に投入し、数百社の化粧品メーカーに販売している。

ビタミンC誘導体は、紫外線により発生する活性酸素を除去し、皮膚のダメージを改善するマルチ美容成分。特に、2005年に市場投入した水溶性ビタミンC誘導体「アプレシエ」は、既存のビタミンC誘導体に比べて皮膚のコラーゲン合成を促進する作用を持ち皮膚浸透性、ビタミンCへの変換に優れていることが化粧品各社から評価されて現在、売れ行きナンバーワンの商品となっている。化粧品各社が販売する美容液や化粧水、クリームなどに配合しているのは、ほとんどが同社製のアプレシアで占めるなど人気が高い。

今年5月から新たに柑橘類由来のくすみ改善成分「メチルヘスペリジュ」と体内脂質の燃焼を促進し皮膚透過性を高めた「HI‐カルニチン」の2商品を市場に投入し、技術説明、提案営業を始めている。一連の商品は、応用化学品研究所と機能性化学品事業部が連携して開発した。「当社の機能性化粧品原材料は、説得、納得商品であり商談に結び付くまでに時間がかかる。が、付加価値ビジネスとして期待は大きい。年内にも新たに2商品を市場に投入してさらに拡販を図りたい」(同事業部パーソナルケアグループ)と意欲に燃える。

化粧品各社のグローバル化に対応して機能性化粧品原材料の海外市場の開拓・販売にも一段と力を入れて取り組む。現在、商社を通じた原料輸出に加えて米国、ドイツ、中国など世界5ヵ国の現地法人と連携しながらロレアル、P&Gなど欧米の化粧品ブランドメーカーと直接、商談を進めるなどグローバル化を加速している。

こうした国内での新商品投入や海外での事業強化によって機能性化粧品原材料の売り上げを2020年度までに現在の15億円から30億円に持って行く計画。

この売り上げ目標を達成するためには、機能性化粧品原材料の中国向け輸出、現地での開発、生産、販売が大きなカギを握る。

同社は、すでに中国食品薬品監督管理部門(SFDA)に対して輸出入の承認申請を出しており、近く輸出入許認可文書が発行されて正式に承認される見通し。

中国は、2010年4月1日から「化粧品行政許可申請受理規定」を施行し、中国向け化粧品の開発、輸出、販売に関する許可申請規定や手続きなどを大きく変え厳格化した。この新制度に準拠して中国向け輸出と中国国内での開発、生産、販売をいかにスムーズに立ち上げるか、国内の化粧品企業、原料メーカーが問われている状況だ。

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