幹細胞コスメの最近のトレンドロート製薬の幹細胞研究 ~新成分配合の百貨店ブランド化粧品を開発・販売~(下)
2017.11.30
編集部
ロート製薬は、脂肪肝細胞が持つコラーゲン産生能力を生かすため、独自成分の「ステムSコンプレックス」を開発し百貨店向け化粧品「エビステーム」ブランドの「ステムサイエンスシリーズ」に配合して商品化を図り、大手百貨店ルートに乗せて販売している。
ステムSコンプレックスは、幹細胞増殖因子(HGF)と同様の働きをする3種のアミノ酸などを組み合わせた新保湿成分。再生医療研究での過程から得られた知見を応用して開発した。
この新素材は、脂肪幹細胞の能力のひとつである「損傷部位へ移動→修復」という働きを高め、脂肪幹細胞を増やすことでコラーゲンの産生をアップする素材。同時に、コラーゲン、エラスチンを生む真皮内の線維芽細胞を増殖させ、表皮のターンオーバーを促進させる「バイタライズコンプレックス」や特許出願中の高浸透処方「ディープターゲットデリバリー」を採用。これらの働きにより、肌が覚醒したかのように内側からハリ、潤いを生み出すよう誘導する。2015年9月に「ステムサイエンスシリーズ」として百貨店ブランド「エピステーム」の商品化を図り市場投入した。現在、化粧水、クリームなど7品目を市場に投入し、百貨店での対面販売を行っている。
同社は、新保湿成分「ステムSコンプレックス」に続いて保湿成分「ステムCM」(加水分解幹細胞順化培養液=培養上清由来成分)を開発し、ステムSコンプレックスなどと一緒に配合して商品化した美容液「ステムサイエンス RXショット」(写真)を商品化し、2017年9月に百貨店ルート向けに販売を始めている。
培養上清は、幹細胞を培養した際の上澄み液のことで、幹細胞自身が活発化、成長、増殖するために放出した様々な因子が濃縮して含まれているエイジングケア成分。しかし、この培養上清はそのままでは分子が大きく肌に浸透しない。そこで同社は、この培養上清を低分化し、浸透効果を高めるなどして実用化した。
同社は、幹細胞研究の中から生まれたエピステームやステムサイエンス RXショットの化粧品ブランドについて「百貨店内での対面販売を通じて肌の美容効果に優れた化粧品の訴求力をさらに高めるため、百貨店内でのイベント開催やDM等に力を入れて取り組んでいる」として引き続き販促強化に打って出る構え。