【連載】大手化粧品会社の研究㉑コタの会社研究 ~提案営業で美容室の収益向上を実現~(上)

2018.05.14

特集

編集部

コタ株式会社(京都府久世郡、東証1部上場)は、シャンプー、リンス、整髪料などの美容室向け頭髪用化粧品を製造販売するメーカー。1979年に小田製薬株式会社として設立。2001年、現社名に変更した。
美容室向け頭髪用化粧品は、美容室内で美容師が使用することを前提とした美容室専売品であることから、小売店舗(スーパーマーケット、ドラッグストア等)で取り扱う一般市場品と比べて付加価値の高いものとなっている。

現在、同社が製造、販売している主要品目は、トイレタリーとしてシャンプー・トリートメント等がある。整髪料としては、ローション・スプレー・フォーム・ワックス等がある。カラー剤は、ヘアカラー・ヘアマニキュア等。育毛剤には、薬用育毛促進剤等がある。パーマ剤には、ウェーブ剤・ストレート剤・カーリング料等がある。

これらの商品の販売は、同社から全国各地の代理店に販売する「代理店ルート」と、同社が直接、美容室に販売する「直販ルート」の2つの方法を採用しており、代理店へは営業第一部が担当。美容室への営業は、営業第二部(全国各地にある11の支店・営業所)が販売を担当している。また、これらの営業部門が旬報店システムを軸としたコンサルティング・セールスを実施している。
競合他社では、カット等の美容技術の指導を主とした講習会等を行っているが、同社ではそのような技術志向の営業活動ではなく、美容室の経営全般に関する指導を主とした経営志向の企画提案型の営業活動を行っている点に特異性がみられる。

このコンサルティング・セールスと合わせてトイレタリーの販売を中心とした店販戦略も注目される。美容室における「店販」とは、来店された顧客に対する毛髪のカウンセリングを通じてヘアケアやヘアスタイルのアドバイスを行うことで、最適な製品を販売すること。来店した顧客が自宅で使用できるシャンプーやトリートメント(トイレタリー)等の製品が店販の対象となっている。
美容室に来店した顧客にカットやパーマ、ヘアカラー等の技術サービスを受けていただくだけではなく、美容師からヘアケアやヘアスタイリングのアドバイスを受けてもらう。
美容室と同じ製品を使ってもらうことでより、美容師がつくり上げたヘアスタイルを顧客の自宅で再現することにより、美容室への再来店にもつながるという相乗効果が狙い。

同社では、創業以来、この「トイレタリーの販売を中心とした店販戦略」を継続して実施。今では、業界においても店販の効果が少しずつ認識され始め、一部メーカーにも店販に取り組む動きが見られるまでになっている。
店販を推進するためには、メーカー、美容室ともに「技術志向」の認識を変える「意識改革」が必要であり、その意味では、店販が業界に浸透するまでにはまだ時間がかかる状況にある。表にコタの会社概要を示す。

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