【連載】大手化粧品会社の研究㉕伊勢半の会社研究 ~マスカラ調査、年齢・居住地によりマスカラ選び変化~(下)

2018.05.31

特集

編集部

経営トップによる「顧客のニーズを掌握して商品を開発・販売する」との経営改革を強く打ち出した伊勢半は、「マスカラ選び」をテーマにしたアンケート調査を実施するなど消費者のニーズ分析を活発化している。

同社のマスカラ選びに関わる調査は、2017年だけでも2回(3月と6月)実施した。消費者ニーズを掌握することで商品開発につなげる狙い。

現在、市販のマスカラは、お湯などで落としやすい「フィルムマスカラ」と耐久性にすぐれた「ウォータープルーフマスカラ」の2種類が主流となっている。一方で、クレンジングが手軽なマスカラは、カールがとれやすいこと。また、耐久性にすぐれたマスカラは、落としにくいという課題を抱える。

こうした中で同社は、世の女性たちが「耐久カール」(カールの持続性)と「ラクOFF」(マスカラクレンジングの手軽さ)のどちらを重視しているかを探るため、2017年3月1日から4月23日までの期間、延べ10万人以上(104,992人)の方に参加してもらいウエブ上で「耐久カール派」or「ラクOFF派」を問う投票企画を実施した。

さらに、投票をおこなった方を対象に任意のアンケート調査も実施し、アンケートに答えてもらった10~30代女性4万5千人の回答を分析した。

その結果、10代では「耐久カール派」が約6割(58.1%)となり、落としやすさよりもカールを重視する人のほうが多数を占めた。
20代においては「ラクOFF派」の割合がやや増加したものの「耐久カール派」が過半数(53.7%)にのぼった。しかし、30代のグループになると割合が逆転し「ラクOFF派」(51.4%)が「耐久カール派」(48.6%)の割合を上回った。

こうした調査結果から同社は「若い世代ほどカールの持続性を重視しており、年齢を重ねるにつれてカールよりも落としやすさを優先する人が増える傾向にある」として、年代や居住地によってマスカラ選びを重視するポイントが異なることが判明した。

年齢によって変化する「マスカラ選び」をデータ図に示す。「耐久カール派」が一番多いのは20歳。そのまま27歳までは「耐久カール派」が優勢だが、28歳から30歳の間では「ラクOFF派」が逆転する結果となっている。また、30代は「ラクOFF派」が優勢だが、30代の終わりに差し掛かると再び「耐久カール派」の支持が高くなっている。

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