【連載】大手化粧品会社の研究㉙北の達人コーポレーションの会社研究 ~顧客満足度にコストとパワーを傾注~(下)
2018.06.15
編集部
北の達人コーポレーションが高収益を実現し、成長の軌跡を歩んでいる要因は
➀ブームを避ける商品群の開発
②売上の約7割が定期購入という2つの戦略による安定成長の仕組みを構築したことが大きい。
化粧品や健康食品分野は、常に新成分等の「ブーム」がある。しかし、同社は「オリゴ糖」「ポリフェノール」といったブームとは無縁の商品を開発し、商品の品質を認めてもらいながらファンを増やしてきたことが安定成長につながったといえる。また、1~3ヵ月毎に定期的に商品を届ける便利な購入方法「定期購入」を採用したことも収益の向上につながった。
同社の商品は、大体1ヵ月くらいで消費し、継続的に使用するタイプの商品が多い。このため、利用者の多くが定期購入に加入する。
定期購入の売上の仕組みは、今月の売上分と同額が来月もカウントされるので、理論的に売上が下がることはない。定期購入の会員が新たに加入するたびに、毎月の売上が積み上がっていく仕組みになっている。
現在、売り上げの約7割が定期購入で占められており、ベンチャー的発想から生み出した2つの戦略が高収益を生み出す源泉となっている。
同社は、一般的な企業に比べて収益率が高いという特徴がある。一時期、広告費や業務量増加に伴う人件費が年々増えていき「売上は上がっても忙しいだけで利益が出ない」という悪循環に陥った。同時に、年々増えていく業務量やコスト増に比例して顧客満足度は上がっているのか」と、疑問に思うようになった。その結果、余ったコストとパワーを全て顧客満足度に費やすという方向に舵を切った。具体的な施策として大量販売するために多くの人に告知する広告について正確なターゲット、顧客分析ができるネット広告に絞り、商品を必要としている人のみに販売するようにした。
一方で、浮いたコストとパワーを顧客満足に向けたためリピート率が向上し、新規顧客が増えるなど売上が逆に急上昇した。
こうした収益の向上は、社内の活性化にも繋がっている。同社は、毎月、一番成果を上げた社員を表彰する「社内MVP制度」を導入し表彰している。評価は、MVPシートと呼ばれる自分の1ヵ月間の成果を報告した内容によって判断される。評価は売上増だけではなく、業務の改善や顧客サービスアップなど様々な点から総合評価される。
「1日1枚以上」を基準に、スタッフ間で感謝の気持ちを伝え合う「サンクスカード制度」の導入も図っている。また、社長の発案で「できたらいいな」と銘打った制度を導入している。同制度は、個人の自由な夢を年に1回冊子にまとめて発表しているもの。同制度の中から「バ―スデイ休暇制度」が実現するなど職場環境の整備が図られている。