食事を記憶することで、次の食事の過食が防げる
2019.01.17
国際部
北米神経科学学会(Society for Neuroscience)は1月15日、食事の記憶を高めることが、過食予防に役立つことを示唆する論文の概要をプレスリリースした。研究の詳細は学会誌「eNeuro」オンラインに掲載されている。
研究者らは、過去の食事の記憶を保存することによって将来の食事の摂取量を制御していると思われる雄ラットにおいて、光遺伝学(オプトジェネティクス)的手法を用いて、背側海馬または腹側海馬(dHC、vHC)の錐体ニューロンの活動を抑制すると、エネルギー摂取に影響するという仮説を検証した。
その結果、錐体ニューロンの活動抑制により、ラットがより早く次の食事を欲するようになり、その摂取量も多くなることが確認された。実験用のエサとして固形飼料、スクロース(砂糖水)、サッカリン含有飼料が用意されたが、そのいずれにおいて摂取量の増加が見られた。最初の食事の後に活動抑制が起こると、次の抑制を起さなくても食事間隔は短くなり、食物摂取量は増加することも判明した。
研究者らは、海馬が摂食を調節するメカニズムを解明することによって、海馬機能不全と肥満との関連性を説明できるかもしれないとしている。