8月1日の改正薬機法で課徴金納付命令制度を導入 虚偽・誇大広告規制を強化
2021.08.3
編集部
8月1日の「令和元年の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)の改正により、医薬品、医療機器等の販売にかかわる虚偽/誇大広告について課徴金納付命令制度が導入された。
薬機法の「虚偽・誇大広告」規制は「何人」に対しても適用され、医薬品等の製造業者や販売業者に加え、当該広告を掲載したメディア等も対象となる。
この点、景表法の「優良誤認表示、有利誤認表示」の課徴金対象が「事業者」とされているのが異なるところだ。
課徴金額の算出は、違反していた期間の対象商品の売上額の4.5%で、景品表示法の売上額の3%を上回る。
ただし、課徴金が225万円未満の場合は対象外となる。また、景品表示法による課徴金がある場合、これを控除した売上額の1.5%が課される。
厚生労働省は今回の薬機法改正について次のような課題があったためと説明している。
●近年、医薬品等に関する虚偽・誇大広告や、未承認の医薬品等の広告・販売等の薬機法違反事例が散見され、違反事例は減少していない状況にある。
●これらの薬機法違反は、薬機法上の業許可を持たない事業者により行われる事例も多く、特にそのような事例においては、許可の取消しや業務停止命令といった行政処分を行うことができないことにより、抑止効果が働きにくい状況があるのではないか。
●また、これらの薬機法違反は、経済的利得を主たる目的として行われていると考えられるものがあり、特に医薬品に関する虚偽・誇大広告の事例に対して、当該違法行為によって得られた経済的利得を徴収するべきとの指摘もなされている。
●欧米においては、違法行為によって得られた経済的利得を徴収することができる罰則、行政処分が存在しており、当該規定が薬事関連法規の違反に対しても適用されているが、我が国の薬機法においては、法人に対する場合は両罰規定により1億円を最高額とする罰金のみであり、違法行為によって得られる高額な経済的利得に対して、抑止効果が働いていないのではないか。
さらに同省では今回の課徴金納付命令制度について次のように図解している。