どうなる抗疲労トクホの認可(下)
2014.01.10
編集部
特定保健用食品(トクホ)は、ヒト臨床を含む各種のデータを元に機能性、有効性、安全性を国立健康・栄養研究所や登録試験機関(民間含む)などが審査し、消費者庁が整腸、コレステロール、血圧などの保険効果の表示許可(2009年9月に厚労省から消費者庁に移管)を与える。トクホ取得費用は、1件当たり平均5,000万円から6,000万円。取得するまでの期間は、申請後、平均2年間となっている。トクホ取得は、開発力、取得費用面から大手企業に限定されるのが特徴。
2013年12月現在、トクホ表示許可品目は、オリゴ糖を含む食品や乳酸菌、食物繊維、コレステロール、カルシウム吸収など10カテゴリー合わせて累計1,095品目にのぼる。
トクホの市場規模は、日本健康栄養食品協会の調べによると、2011年度5,175億円(小売価格ベース)と、ピーク時の2007年度比1,623億円の大幅減少となっている。トクホ市場が減少した理由は、品質面の信頼性や効果が分かりにくく価格が高いなど消費者離れを起こしたことが主因。
市場に占める販売比率が高いのは、乳酸菌やビフィズス菌入りトクホのヨーグルト(醗酵乳)類で56%、金額ベース2,764億円、次いで中性脂肪・体脂肪の21.4%、同1,107億円となっている。また、販路別割合では、スーパーでの販売が39.4%とトップを占める。
ヨーグルトや飲料に乳酸菌やビフィズス菌を入れたトクホが市場を牽引しているのは、女性から「腸内環境を整える」と支持されていることが大きい。雪印メグミルクや明治乳業、森永乳業などが相次いでトクホ(写真)を取得して市場での攻勢に打って出ており市場は、トクホ認定されていないヨーグルト、飲料商品などを含めて玉石混交の状況にある。
トクホ市場が減退する中で、抗疲労トクホの認可による市場拡大に賭ける期待は大きい。疲労プロジェクトに参加した大阪市は、疲労についての啓蒙を図る目的で「美味しく元気に疲労回復」と名打った疲労レシピの一般公募(応募総数274件)を行い、疲労の予防・回復に効果的な栄養素を含む指定食材(計12種の食材の中から1品)を使ったレシピ入賞作品80点を選定。このアイディアレシピをもとに阪神百貨店や阪急百貨店などが弁当(写真)やサラダ、デザートに商品化を図り店頭(コンビニ含む)販売を始めている。
こうした疲労レシピによる食材開発やトクホ市場のさらなる活性化は、新しい概念の抗疲労トクホ認可の去就にかかっており抗疲労トクホの表示許可問題は、正念場を迎えている。