日本発の創薬実現を―製薬協会長が年頭記者会見

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2014.01.16

編集部

製薬メーカーの団体である日本製薬工業協会(手代木功会長)は1月15日、年頭の記者会見をして手代木会長が製薬産業の3つの決意と4つの事業方針を明らかにするとともに、日本版NIH(日本医療研究開発機構)の創設を目指し、日本発の創薬実現を提言した。

手代木会長手代木会長はまず、製薬産業として創薬能力を持つ日本の①革新的新薬の創出等で国民の健康の維持・向上②先端的研究活動による科学技術レベルの発展に寄与③経済成長のけん引役として強い日本の復活に寄与―の決意を述べた。

2013年度事業方針4つのトップにコンプライアンス(法令順守)の徹底と透明性の向上を掲げた。製薬協は昨年4月からメーカー各社の業務規約(コード・オブ・プラクティス=COP)の策定と遵守を徹底させてきた。ところが、厚生労働省が1月9日、スイス製薬の日本法人大手「ノバルティスファーマ」を、高血圧治療薬を巡る臨床データの操作問題で不正な操作があった国内の研究論文を宣伝に利用した疑いがあるとして、薬事法違反(誇大広告)で東京地検に告発した。薬事法は医薬品や医療機器の効果について、うそやおおげさな広告を禁止している。告発の対象となったのは、東京慈恵医大と京都府立医大で実施した高血圧治療薬「ディオバン」臨床研究の論文で、これを使いノバルティスファーマが2011~12年に発行した広告は「誇大広告」と告発した。

これを受けて製薬協は2013年度事業方針4つのトップに「コンプライアンスの徹底と透明性の向上」を掲げた。透明性については同協会加盟70社中68社が情報公開に応じている。残り2社も3月までには開示に応じる方針だ。イノベーション促進による医療の質向上と経済発展への貢献、国際連携、積極的な情報発信を重視した。

製薬協が重視しているのは日本の製薬業界の司令塔で、「日本版NIH」の創設である。政府の取り組みを支援し、各省庁で個別に実施されている科学技術予算を政府全体で統一的に編成することを訴えている。そのためには、ほとんどの大学が創薬ネットワークを活用し、創薬成功の鍵である知財戦略を産学で共有することが重要と力説し、日本発創薬の加速化につながる環境をつくることの重要性を提言している。

製薬協は、4月10、11日に開く「第3回アジア製薬団体連携会議」(東京)で、アジア発医薬品創出のインフラ構築に向けてのロードマップ作成を目指している。

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