連載・新興市場上場の美容業界各社の経営・事業動向に迫る【9】ヤマノホールディングス、美容事業、競合店が出店攻勢
2014.11.4
編集部
ヤマノホールディングス(HD)(東京都渋谷区)は、ふとん店創業(明治42年)後、ミネベアグループ(1979年)、ヤマノグループ(1984年)を経て1977年ジャスダック上場した。2006年8月に現社名に変更して以降、M&Aを活発化して事業規模を拡大。現在では、美容サロン経営、スポーツ、呉服・宝飾・アパレル(和装)などの複合事業(サービス事業)を行っている。また、いずれの複合事業も組織形態として社内カンパニー制導入による連結対象の子会社(8社)が事業展開している点に特徴が見られる。
美容サロンの直営やFC展開などの美容事業は、子会社マイスタイル(2008年3月、ビューティ多賀志とビューティプラザ合併設立)が担当している。前期2013年3月期売上高247億8,300万円に占める美容事業の売上は、金額ベースで27億円と個別事業(セグメント)の中で最小の売り上げ規模となっている。競合店の出店攻勢に直面し、店舗の統廃合を余儀なくされていることが収益アップに繋がらない理由。
前期における美容事業の店舗展開は「ファミリーサロン」1店舗と50代から70代の年齢層をターゲットにした「アンチエイジングサロン」7店舗のリニュアール化を実施。また、17店舗の閉店・統合を行った。この結果、2014年3月末の店舗数は、直営103店舗、FC6店舗にのぼる。
これらの美容サロンは、天然素材を使って頭皮のクレンジングとヘッドマッサージを行う「ヤマノ式ヘッドスパ」(写真)を売りにしている。
前期の美容事業以外の売上は、スポーツ事業45億700万円、美容、和装・アパレル、スポーツ、健康関連商品などの販売と大型催事を行うDSM事業31億6,200万円、呉服・和装の専門店展開と卸売り事業(子会社で2部上場企業の堀田丸正が担当)は、68億8,200万円などとなっている。
今期(2015年3月期・連結)の業績は、売上高242億円(前年同期比2.4%減)、営業利益4億円(同11.8%減)、最終利益3億6,000万円(同12.5%減)と減収減益を予想。
今期の収益向上策として新卒採用の増員、中核的人財の育成を目指した教育カリキュラムの強化や社内管理システムの統一による管理コストの削減などを推進。また、2014年4月1日以降、小売事業と卸売事業の集約を目的とした事業再編を継続して取り組むほかM&Aに引き続き力を入れて事業領域の拡大を図る計画。
同社は、これまでサービス業としての成長をM&Aに軸足を置いて複合事業の牽引とスケールメリット(規模)を追求してきた。しかし、美容事業1つ見ても成長の響きが聞こえてこない。
サービスの向上策や先行きの具体的な事業戦略を構築し、成長軌道に乗せる姿が早急に望まれる。
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