【連載】化粧品各社のイノベーション研究【10】アイケイ③ インタビュー アイケイ長野庄吾社長に聞く ~PB比率を早期に現在の25%から40%に引き上げ、海外も強化~
2016.01.27
編集部
株式会社アイケイは「美容」と「健康」をテーマに物つくりと販売の2つを兼ね備えたメーカーベンダー企業として飛躍。ここへきて自社ブランド製品(PB)の開発・販売を強化して、PBの売上アップや営業利益率の向上に取り組む。そこで専務から社長に就任(2015年8月)した長野庄吾社長に経営の舵取りを聞いた。
―経営トップに就いての感想と抱負から伺いたい
「これまでの役職と違って経営のトップに就いてみて、初めて経営の責任感と重責の重さを噛みしめています。また、経営を推進する力は、全社員が一丸となって目標に向けて行動することであります。当社には、そうした行動力に溢れた優秀で豊富な人材がたくさんいます。人財を基本にしながら経営の舵取りを行い、さらなる成長発展に繋げていきたいと考えています」
―メーカーベンダー事業を主力に展開していますがどのような点が強みですか
「当社は、創業当初から通販ソリューションを丸ごとクライアント(生協等)に提供するメーカ―ベンダー事業をビジネスモデルとして展開しています。メーカ―ベンダーとしての特徴は、クライアントに対して商品選定、媒体制作(カタログ、ウエブ)、品質管理、受注業務、物流業務をセットしたソリューションを丸ごと提供できることが強さといえます。また当社は、商品の企画開発「オリジナル・デザイン・マニュファクチャリング」(ODM)も強さの1つです。
当社は、化粧品や美容健康食品、アパレルなど多種多様な商品開発を得意としており、商品開発のコンセプトに合わせて生協ルートや一般通販ルート、ウエブ通販ルート、TVショップなどのチャネル設定と売り方に合わせた〝魅せる伝え方〟のノウハウを持っていることも大きな強みと言えます」
―子会社の株式会社フードコスメが展開している化粧品事業「スキンフード事業」の実態は
「韓国スキンフード社との間で、黒砂糖やアボガドなど食べ物由来の化粧品をコンセプトとした国内総代理店契約を結び、2009年6月から多店舗展開による国内販売を始めました。店舗は、駅中の専門店にテナント出店する形態を採り、現在まで店舗数は20店舗を数えています。これまで厳しい収益状況にありましたが、今期は商品の絞り込み、店舗のスクラップ&ビルド、販売員の接客教育などが奏功し黒字化を見込んでいます」
―自社開発の化粧品ブランドLBの販売強化が焦眉の急となっていますね
「2013年からLBの販売を始めており、現在、65品目(アイテム)を市場に投入しています。販売方法は、ドラッグストアやバラエティショップなど約600店に卸販売するとともに、百貨店ルートや通販専門ルート、自社のECサイト、海外店舗など販売チャネルの拡大を図っています。昨年12月でのPB年間売上は、対前年比152%増の約8億8000万円に達しました。今期中に化粧品「ハト麦水おしろい」など、ハト麦関連商材の新商品を5アイテム程度投入する計画です。PBの先行き目標としては、取引店舗数2000店舗、PB売上げ35億円、PB売上比率を現行の25%から40%にできるだけ早い時期に達成したいと考えています」
―東南アジアでのLB化粧品を中心とした海外戦略は
「タイ、シンガポールなど東南アジア5ヵ国に進出し、現地の代理店を介してLBの販売を行っています。今年は,フィリピン、ベトナム、オーストラリアの市場開拓と中国での販売を強化します。中国では、最大規模を誇るコンシューマ向けプラットホーム「T-MALL」へ自社旗艦店を出店、電子商取引を開始しました。海外での売り上げ目標は、3年間で10億円を計画しています」