【連載】大手化粧品会社の研究⑥アジュバンコスメジャパンの会社研究 ~サロン名をアジュバンサロンに変更、サロンの収益底上げへ~(中)
2018.02.21
編集部
アジュバンコスメジャパンは、サロンを通じて消費者に化粧品を販売するビジネスモデル(表参照)を構築し化粧品販売事業を展開している。同社は、2018年3月期から最終消費者への販売拠点として約7000店にのぼるA・C・Sサロンの名称を「アジュバンサロン」に変更、合わせて同サロンの体制を見直して営業力の強化を図っている。
A・C・Sサロン登録件数は、2017年3月期で前期比178件増の7375件に上る。このうち約1000店を同社の30数名の営業担当者が直接カバーする直販サロン、残りの約6000店が代理店を通じてカバーする代理店サロンとなっている。
営業力強化に向けたA・C:Sサロンの見直しは、直販サロンを担当する営業者の業務の見直しがポイント。従来はサロンへの経営指導から商品の受注、配送まで、すべてを受け持っていた。その結果、仕事の大部分が商品配送となってしまい、本来注力すべき経営指導や商品の説明に十分な時間を割くことができない状況だった。
そこで、配送業務を切り離して本来の業務に集中させるように体制の見直しを図るなど収益底上げに向けて大きく踏み込んだ。
同社は、約7000店のA・C・Sサロンのうち販売額の優良実績店舗を“ロイヤルサロン”と位置付けている。現在は、約2000サロンがロイヤルサロンだ。ロイヤルサロンの中にも上位から下位まで販売額の水準にばらつきがあるため、下位を底上げすることがサロン強化の重要なポイントにしている。
強化策の柱は、登録サロン側のニーズや都合を反映したキャンペーン等の企画・実行。これまで同社の都合でキャンペーンの内容や日取りが決められていた。そうしたキャンペーンには、登録サロン側のニーズや都合が反映されていなかったため、キャンペーンへの参加率も低く実効性が乏しいことが多かった。
そのため2018年、2017年の2年間、サロン側の目線に立ったうえで「サロン力の向上」と「販促コミュニケーションツールの構築」という施策を打ち出し、サロン側の声をくみ上げ、それを反映させたキャンペーン等の企画・実行を徹底した。また、カットの再現性やケアアドバイス、カウンセリング力など「サロン力の向上」が求められるが、この点について営業担当者と美容インストラクターが共同で的確なアドバイスを提供し、サポートしていくようにした。販促コミュニケーションツールの構築の面では、サロンを対象とした全国ゼミナールなどの開催とそれを通じた情報発信や情報コンテンツの整備などで対応している。
同社の売上高の80%は、上位20%弱(約1200店)のサロンによって達成されているとみられるが、サロン力の向上策によって約2000のロイヤルサロンの下位グループの底上げによる収益貢献は大きいとみられる。表にMAPシステム契約件数とACSサロン登録件数を示す。