ミルボン、髪のやわらかさの数値化に成功
2018.05.2
編集部
業務用ヘア化粧品メーカーの株式会社ミルボン(大阪府大阪市)はこのほど、京都工芸繊維大学の佐久間淳教授、株式会社テック技販(京都府宇治市)と協働で、やわらかさなど髪の手触りを測定することのできる装置の開発に成功した。
装置開発においては、毛髪表面の摩擦係数(MIU)を測定するために、センサーとしてYAWASAスライドタッチYST-05A(テック技販製)を使用。このセンサーを一定圧で毛髪束に押し当てたまま根元から毛先に向けて滑らせることができるように、装置形状に改良を加えた。
これにより、測定に際して被験者から毛髪を採取する必要がなくなり、また毛髪を毛束という集合体のまま測定することが可能となった。この装置を用いて年齢や髪質、美容履歴の異なる女性175人の髪の官能評価と摩擦係数の測定を行い、両者を比較したところ、根元から中間にかけて測定したMIUと髪質との間に相関があることがわかった。
具体的には、細くやわらかい軟毛でMIUの値が大きくなり、特に20代女性の毛髪においてこの傾向が顕著に見られた。また、質感の異なる7種類のシャンプー、ヘアトリートメントA~Gで処理した同一人物由来の毛髪束についても摩擦係数を測定したところ、やわらかい質感の毛髪束ではMIUの値が大きく、弾力のある質感の毛髪束ではMIUの値が小さくなる傾向が得られた。
以上の結果から、やわらかい質感を感じられる毛髪ほどMIUの値が大きくなることがわかった。この成果は、2017年9月に開催された第19回感性工学会大会において発表した。
ヘアデザインを楽しむ多くの女性は日常的に自身の髪に触れ、その風合いを感じ取っている。通常、数千~数万本の髪を手の中や指の間に収め、髪を強く握る、ねじる、髪表面を滑らせる、などを行った際に感じる触感から、髪の風合いを判断する。
また、このような髪の風合いを科学的に研究するために、風合いを捉える機器や装置の開発が行われてきた。しかしこれまでの装置は、被験者から採取した毛髪の一本一本を測定するものであり、髪の風合いとの相関が満足に得られていない現状であった。
そこで今回、人が髪を触る状況をより忠実に再現するため、被験者の毛髪を採取することなく、頭部上で毛髪束を直接測定して手触りを評価できる新たな測定装置の開発に取り組んだ。
- 参考リンク
- 株式会社ミルボン