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㊷菊星の会社研究 ~物つくりメーカーとして特許取得に力~(下)

菊星は、創業が大正13年で、もともとは理容のハサミからスタートした会社。会社の歴史を刻む中で「顧客から良い櫛はないか、性能の良いバリカンはないか」という要望に応えるうちに、商社的な商品の仕入れから自社での商品開発も行うメーカーに発展してきた。

同社の経営理念は「人が美しく生きるお手伝い」―。この経営理念の要諦にあるのが、モノ作りメーカーとしてのDNA(遺伝子)だ。
もともと創業者が非常なアイディアマンで、すぐに特許(パテント)を取って他社に真似されないようにしていた。
中小企業にとって大手企業やライバル企業と伍して戦っていくためには、特許を押さえ権利化することで、特許の持つ知的所有権、知的財産権を得ることにつながる。
同社のこうした特許についての考え方が、メーカーとしてのビジネス展開に生きている。現在、同社は、弁理士と顧問契約を結び、製品開発の卵の段階で特許性の有無等について相談している。
開発型メーカーとして開発費の中に特許取得費を折り込みながら、パテント取得に取り組む企業姿勢は、中小の美容企業にとって大きな模範となる。

これまで同社は、デザインファクトリーの開発で蓄積した疎水性シリカパウダーのデータを活用して次々と新製品を開発してきた。開発に伴い取得した特許は、先進的な技術の法的保護だけではなく人材の採用面で効果も生み出している。
同社は、毎年、学卒者を中心に採用しているが「当社のDNAや企業理念を共有した学卒者が入社して開発に従事する場合、特許を多く持っていることがイノベーションを大事にする企業の証と捉えられている」という。
現在、同社の先進的な商品開発に携わっているのが入社歴2年から3年の社員が中心。パワーとやる気は、目を見張るものがある。しかし。経験と知識は浅い。
そこで、外部ブレーンの力を借りながら商品開発と特許化に前向きに取り組むなど実績を積み重ねている。

同社では、自社で発明した特許の権利化の保全だけではなく、新しいものに挑戦する企業姿勢のシンボルとして特許を位置づけている。
「先進的な商品を開発して世の中に貢献したい」―。同社の知的財産権に賭ける意気込みは、高いものがある。

ともあれ、中小の美容・化粧品企業の中で、特許取得を事業戦略に位置付けて知的財産権を確立する同社の動きは、極めて注視される。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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