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⑦ミルボンの会社研究 ~提案営業、製品開発システムのビジネスモデル構築~(中)

ミルボンは、代理店を通じて全国に20万件にのぼる美容サロンに対してヘアケアや染毛剤等の化粧品を販売するプロフェッショナル向け(業務用)を主体に事業展開している。
美容室では、同社から仕入れたヘアケア用剤や染毛剤を店舗に来客した顧客に対して施術で使用するほか、家庭で使用するヘアケア用剤(シャンプー、トリートメントなど)を顧客に店販している。染毛剤やパーマネントウェーブ用剤は、美容室で使用する100%業務用。これに対してヘアケア用剤は、業務用50%、店販50%という構成となっている。

同社の販売体制の中で、優れた美容師と契約して共同開発する独自の研究開発システム「TAC製品開発システム」によって生み出された製品を「フィールドパーソンシステム」という独自の提案型営業で販売をする独自のビジネスモデル(ビジネスモデル参照)を構築した点に特徴がみられる。
同社は、商品の販売は代理店を通じて行い、美容技術や情報・ノウハウの提供を同社のフィールドパーソンが直接行うという形をとる。
フィールドパーソンシステムの開始は1984年にスタートした。フィールドパーソンと名付けた営業マンは、美容室の課題やオーナーの想いと向き合いながら、美容師向けの販売スキルを高めるための講習会の開催、店内会議への参加、店舗の年間スケジュールや販促計画の立案、さらには美容室の経営計画づくりなど幅広い支援を行い自社製品の販売増加に繋げる役割を担う。また、フィールドパーソンが効果的にサロンをカバーし支援できるようにしたのが「フィールド活動システム」である。数あるサロンの中から売上高の規模や成長性が高いサロンを重点的にカバーすることで、成功事例などを他のサロンへ波及させていく。このフィールドパーソンがカバレッジ対象とするサロンを「ミルボンサロン」と呼称している。同社とミルボンサロンとの間には、特に契約関係などは存在しない。

このフィールドパーソンシステムに加えて1987年に製品開発システム(TAC=Target Authority Customer)を導入し運用を始めている。
TACシステムは、顧客ニーズを重視した顧客密着型の研究開発活動のこと。全国の美容室などからの情報を収集してTACを決定し、美容ソフトや製品開発を行う。

研究開発は、商品企画部が市場調査、現場での情報収集からサロン・顧客・流行などの変化を掴み、新しい企画の芽を見つけて商品の企画立案を行なう。また、中央研究所基礎研究グループ及び研究開発グループが市場での情報収集や基礎基盤研究(毛髪の構造解明,新素材研究及び製剤化研究)、製品分析を行い製品の中身を創り上げている。この社内部門が連携して顧客対応の製品開発を生み出し収益の向上に繋げている。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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