アジアで加速化するデジタルコマースの動向
2019.07.31
国際部
アジア太平洋地域でデジタルコマースが加速しているようだ。市場調査会社ユーロモニターインターナショナルの調査によると、アジア太平洋地域は世界のデジタルコマース市場の40%以上を占めるまでに成長しており、デジタル消費を支えているのは同地域での人口拡大、所得上昇、消費支出の増加などの要素だという。同社が2019年に実施した消費者ライフスタイル・サーベイによると、アジアの消費者の実に60%近くが、少なくとも月に一度の頻度で、携帯電話を使ってモノまたはサービスを購入しているという。デジタルコマース分野での3つの動向としてソーシャルコマース(Sコマース)、スーパーアプリ、デジタルウォレットの現状を公式ブログ(7月23日)で紹介している。
ソーシャルコマース(Sコマース)
消費者は徐々に、ブランドに関する情報収集や実際に商品を購入するルートを、ソーシャルチャネルへと移行させてきている。Sコマースが最も活況なのは、アジア太平洋地域で、ラテンアメリカ、中東アフリカといった新興市場と続く。年代層をみると30歳未満の若い世代の消費者が主流となる。消費者ライフスタイル・サーベイ(2019年)によると、ジェネレーションZ層の消費者がソーシャルメティアのプラットフォーム経由て買い物をしていると回答した上位15カ国のうち7カ国がアジアの国々だった。ソーシャルメディアプラットフォームを使って商品を購入したり、商品情報をシェアしている頻度において、アジアのジェネレーションZ層は世界の同世代の消費者グループを牽引している。
スーパーアプリ
スーパーアプリ革命はアシア太平洋地域で開発されたもの。会話やライフスタイル、ソーシャル、決済、小売など複数な機能を1つのプラットフォームに集約した多機能モバイルアプリになる。このようなアプリにより、企業は自社の既存インフラを利用して新たな収益源を生み出したり、消費者のブランドへの関心を高めたりすることが容易となった。一方、消費者はこのオールインワン型アプリが提供するシームレスかつ一体的な有用性の恩恵を受けることができるという。
デジタルウォレット
様々な代替決済プラットフォームか乱立する中、デジタルウォレットは進化を見せているという。例えば、中国では、一国で5億人以上の消費者がオンラインや実店舗での取引に AlipayやWeChat Payといったモバイル決済サービスを利用している。シンガポールにおいては27種類ものデジタルウォレットが存在し、市場は極めて細分化されている。インドのように現金中心の社会でも、Paytmをはじめとするモバイルウォレットがデジタル決済の成長を促進すると予想できる。 2018年、アジアの消費者はモバイル端末で1.6兆米ドルもの取引を行った。これは世界全体で取引されたモバイル決済額の61%に相当する。