資生堂、新たなサプライチェーン拠点を大阪茨木市に設立
2021.09.27
編集部
株式会社資生堂(東京都中央区/代表取締役社長兼CEO:魚谷雅彦)は9月17日、新たなサプライチェーン拠点を大阪府茨木市に設立したと発表した。
これは、プレステージスキンケア製品の生産を行う大阪茨木工場と物流を担うサプライチェーン拠点である西日本物流センターを連携させ、同月より、工場、物流、コンシューマーセンター※、一般向け見学コースの4つの機能を備えた新しいコンセプトのサプライチェーン拠点として始動させるものだ。
※ユーザーから寄せられた相談・要望などを社内に還流し、商品開発などに活かす取り組みを管轄する部門
同拠点では、生産を担う工場に、同社として初めて物流センターを併設し、生産から輸送にかかる作業効率を上げ、輸送時にかかるコストや環境負荷を軽減する。
この大阪茨木工場では「クレ・ド・ポー ボーテ」を中心とした、プレステージスキンケア製品を生産する。将来的には「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」を目指し、2023年以降生産数量を約1.6億個まで引き上げ、将来の需要に対応していくとしている。
さらに同工場は、環境に配慮した建屋構造を有しており、工場建造物としては評価の高い、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)のA評価を取得した。
たとえば、外壁に軽量で断熱性に優れたサンドイッチパネルを採用したことにより、建物内の断熱性能が上がり、工場、物流センターを運営するエネルギー(CO2)を約30%削減することが可能となった。
また、製造時に使用する冷却水については、循環水の再利用により年間65,000tの水使用量の削減効果を生み出した。加えて、工場と物流センターが隣接することによって、製品の輸送時にかかるCO2削減効果は年間60t以上を見込んでいる。
そして同社は「PEOPLE FIRST」の考えのもと、従業員の6割以上を占める女性目線でのワークプレイス改革をはじめ、場所とスタイルを自由に選択できるABW(Activity Based Working)の考え方に基づいたフリーアドレスのオフィス環境を取り入れ、全スタッフ部門を集約した広い空間を設計することで、部門間の交流による業務効率の最大化や、新価値の創出を満たすオフィスを実現したとしている。
また生産現場では、充填仕上げエリアにおいて、材料資材やバルクなど「モノをはこぶ」という作業を自動化する最先端のIoTにより、作業負荷が軽減され、社員が働きやすい職場環境を実現したという。
もう一方の「西日本物流センター」については、「工場と倉庫の一体化によるサプライチェーンの構築」、「世界初の出荷システム導入による徹底的な省人化を実現」を実施したとしている。
同社は生産拠点戦略の考え方について「資生堂は中長期経営戦略『WIN 2023 and Beyond』のもと、生産拠点戦略においては、グローバルな視点でサプライチェーン戦略の構築を進めており、原価だけでなく、リードタイムや在庫、原材料調達など様々な要素を加味し、各工場にて、柔軟に対応できる体制づくりを目指しています。また、IoTやAIなどの最新技術を取り入れた最先端工場を目指し、同時に働く人が誇りを持って快適に働ける工場にしていくことで、業界をリードできるモノづくりの体制を構築していきます」という見解を示している。