オーガニック食品で、がんのリスクは減らせない
2014.04.3
国際部
からだに良いという理由でオーガニック(有機栽培)の食品を選ぶ人は多いが、何が良いのかというとはっきりしない部分が多かった。2012年には米国スタンフォード大学の研究者らにより、オーガニック食品を食べていた人と、そうでない人とのはっきりした健康上の差はないとした論文が出されている。また、2010年には、オーガニックであることが、低カロリーのわけではないのに、オーガニック食品の摂取は肥満対策や体重管理になると思いこまれているという調査も出されている。
今回、英国オックスフォード大学の調査では、オーガニック食品の摂取とがんの発症率の関係を研究した。結果は3月28日の同大学サイト、また「British Journal of Cancer」オンライン版に詳細が発表されている。
がん疫学調査ユニットのKathryn Bradbury氏らは、50歳以上の女性約60万人に、Million Women Study試験の一環として、農薬無使用のオーガニック食品を摂取しているかどうか質問した。質問調査後9年間で約5万人ががんを発症していたが、オーガニック食品の摂取とがん発症リスクに関連は認められなかった。摂取する食品のほとんどがオーガニックという女性で、乳がんのリスク増加と非ホジキンリンパ腫のリスク減少があったが、どちらもわずかだった。
食品の残留農薬が、がんリスクを高める可能性はあるものの、今回の調査では、その明確な証拠は発見できなかった。「この研究は、オーガニック食品を食べてもがんのリスクは低下しないことを示している。農薬が気になる人は、食べる前によく洗うことをお勧めする」とキャンサー・リサーチUKの健康情報マネージャーClaire Knight 博士は述べている。