〝先進国日本〟の エステティックは何処へ向かうのか?(前編)
2013.02.20
編集部
今、知っておきたい「ソシオエステティック」(前編)
日本でエステティックが大衆化し、約40年。日本経済の発展や価値観の多様化とともに、エステティックの在り方は大きく変貌を遂げてきた。現在日本は、人口減少と世界にも例のない超高齢化社会へ向かっており、エステ業界のコアユーザー、ニーズにも少なからず変化が起きている。同時に、業界の今後の課題が浮き彫りになってきているが、一方で、早くも時代に即したエステティックの価値を創造しようという動きも出てきた。
日本エステティック協会理事であり、ソシオエステティシャン第一期卒業生でもある、伏川亜利子氏を取材した。
―エステティックの原点「人をケアする」に立ち返る
豊かな層へ向けた従来型のエステティックだけでなく、精神的、肉体的、社会的な困難を抱えている人に対し、高度な医療と福祉の知識・経験に基づいたエステティックの提供を目指す「ソシオエステティック」。ホリスティックなケアで支援することで、QOLの向上に寄与し、その人本来の社会的な立ち位置を取り戻すことを目的とする。一般的な「エステティック」、治療の一環として行われる「メディカルエステティック」続く、第3の領域としてここ数年注目が高まっている。
「ソシオエステティック」がフランスで国家資格として確立されてから、約15年。日本に導入されたのは8年前のことだ。第3期までの卒業生は37名だったが、今期は一気に増加。現在、第4期生の約30名がソシオエステティシャン養成講座を受講している。ソシオエステティックの概念は徐々に広まり、各地で取り組みが始まっているものの、卒業生の現在の主な活動の場は介護現場。そのため、「ソシオエステティックは介護の一部」と捉えている人も多い。しかし、「広義の人道的なエステが、ソシオエステティックが持つ本来の意味」だと伏川氏指摘する。
「エステティック業界はこれまで、〝きれい〟をベースに施術技術を発展させてきました。もちろん、技術や接客を高めることは大切なこと。でもこれは、世界中で実践されています。この時代必要とされるのは〝先進国である日本ならではのエステティック〟つまり、人体の医学的な知識とお客様の心理をさらに重視した全人的なエステティックの構築です。エステティックは、対人間であるという根幹を見直そうという流れこそ、ソシオエステティック」と語る。