カラーリング剤とアレルギー問題(下)~アレルギー・白斑問題、海外への負の拡散防止図れ~

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2015.10.30

編集部

化粧品を含む美容業界にとってカラーリング剤のアレルギー問題は、白斑問題がいまだに尾を引き訴訟問題に発展している中で、新たな課題を突き付けることになった。

現在、白斑問題は、全国で179人が原告となって裁判所に集団訴訟を起こすなど解決の道のりは遠い。しかし、訴訟や係争に伴う賠償に目を向けがちな白斑問題は、白斑を引き起こした原因成分の「ロドデノール」の安全性や白斑との因果関係の解明が遅々として進まない状況にある。

これと同様なことがカラーリング剤のアレルギー発症問題にも当てはまる。化粧品や発毛剤、ヘアカラー剤などに使われる化学原料、化学物質は、安全性を担保に化粧品各社が美白、保湿、染色成分などとして採用したもの。しかし、白斑問題やアレルギー問題に見られるように安全を担保に採用し、厚労省が安全として認可した化粧原料や化学物質が必ずしもすべて安全とは言えなくなった。

特に、消費財として化粧品は急速にグローバル化が進み、商圏も世界市場に拡大。一方、国内市場においては,中国、タイ、インドネシアなどのアジア富裕層の来日(旅行客)に伴う高級化粧品の爆買現象などで需要も様変わりの状態にある。
その意味で、化粧品の白斑問題やアレルギー問題は、単に国内問題としてのみ捉えることはできない環境になってきた。

こうした社会問題にまで発展している事象が海外での購買に水を差すことやアレルギー発症などで保障問題に発展しかねない懸念がもたれる。
化粧品、毛髪剤、カラーリング剤などの原料と原料を構成する化学物質の安全性、信頼性,品質について事業に携わる原料・化学メーカー、商社、化粧品メーカーなどの製造物責任者(PL)が一体となって安全性について再検討し、海外に飛び火しない防止策を検討することが重要だ。

一方で、安全性に関わる製造物責任の所在は、メーカーのみならず許認可を与えた厚労省にも責任の一端がある。
しかし、なぜか、白斑問題やアレルギー問題で、厚労省の責任所在がいまだに雲散霧消の状況にあり、責任の所在が見えない。
今度のアレルギー発症で厚労省はパッチテストの励行をメーカー各社に求めたことは至極当然のこと。
だが、肝心なことは、原料や化学物質の許認可を行使する立場にある厚労省自体、人体に影響を及ぼす原料や化学物資について徹底的に原因を究明し、安全性に問題があれば使用を直ちに中止する英断が必要だ。発症した数、発症の個人差で、原料や化学物資の使用を論じるのは、あまりにも鈍感すぎる。

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