夜8時以降の食事が肥満の原因とは限らない
2016.05.23
国際部
夜8時以降の食事と肥満に関連性はないという研究内容が5月17日、英国のキングス・カレッジ・ロンドンのパブリックリリースで発表された。キングス・カレッジ・ロンドンはロンドン大学を構成するカレッジのひとつ。研究の詳細は「British Journal of Nutrition」最新号に掲載された。
今回の研究は子どもの夕食と肥満の関連を検討したもの。英国で実施されている国民栄養調査の2008-12年のデータから、4-10歳768人と11-18歳852人の計1620人を対象にその食生活を調査した。この調査は、子ども本人もしくはその親が、4日間にわたって食事内容と時間を記録したもの。BMIを算出するために身長・体重の計測値も収集した。
データの統計的分析によると、午後2時から8時までに夕食をとった子どもに比べ、午後8時から10時の間にとった子どもの肥満リスクが大きく増加することはなかった。また、栄養摂取の状態やカロリー摂取量にも大きな違いはなかった。
論文主筆のGerda Pot博士は対象となった子どもの絶対数が少なかったとしながらも「夜遅くに夕食を取ることと肥満に関連がないことは驚きだ」と述べている。これまで、食事の時間は、英国の子どもたちの体重増加傾向の原因の一つと考えられていたからだ。そのためしばしば、1日のカロリー摂取量と質の高い食事を朝にとるようにすすめられてきたようだ。
この研究ではまた、記録のミスや過少報告の可能性も考えられ、朝食をとらなかったり、運動不足だったりというその他の潜在的交絡因子を検討していないことも挙げられている。今後は子どもと朝食、さらには睡眠と肥満の関係の研究も進めていくと博士は述べている。