花王、身体洗浄剤の泡形状を自在にコントロール可能に

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2018.06.8

編集部

花王株式会社(東京都中央区)の包装容器開発研究所によると、ボディや手洗いなど身体洗浄剤のポンプフォーマー容器から出てくる泡形状を今まで以上に自在にコントロールすることが可能となり、多様な泡の造形を楽しむことができる可能性が見えてきたという。

身体洗浄液を泡の形状で提供することは、肌上に拡げやすい、すすぎやすい、すすぎに要する水量が少なく環境にやさしい、などの幾多の特長が挙げられる。

それぞれの製品に合った泡を造り出すためには、1)洗浄液(剤)を構成する成分や配合量を適切にコントロールして製品(泡)の性能を決める、2)泡粒一つひとつの粒径や気液比を商品に合わせて調整し、触れたときの感触をよくするなど、発泡機構をコントロールすることが重要。

これら2点のアプローチに加え、今回、ポンプの突出口である“ノズル”(気液比、泡吐出量を自在に変更できる電動ディスペンサーを使用)を適切な形状に設計することで、変化のある立体的な泡形状を造作できることがわかった。

具体的には、花であるとか動物であるとか、また、ハート型のマークやロケットといった、さまざまな泡造作物を作成することが可能。これを、「3D泡形状付与技術」と命名。泡が吐出する、これまでの単純なノズル形状とは異なり、泡の流路、流動性や剤の性質までを考慮した結果、より立体的で細かな造作泡を作成できる。

泡は、細い隙間を通るほど早く流れ、また、他の流路から出た泡と合体することで別の動き方をする。単に目標形状を縮小してノズルを制作しても、これまでは、実際に想定するような泡形状作成には至らなかった。そのとき解決のヒントになったのが、“泡の性質を深く知ること”と“異業種の技に学ぶこと”。泡を詳しく調べてみると、早く流れているとよく流れるが、遅いと途端に流れにくくなる性質があることがわかってきた。この性質をうまく利用し、思った目的の位置に泡を形成できるようになった。

また、異業種の技とはケーキのデコレーションの技。クリームを用いたケーキのデコレーションは絞り口の種類やパレットナイフの交え方で平面、波形、花、人形といったさまざまなクリーム形状に変化をつくることができることから、ノズルの形状設計への適用を試した。

ノズルに高い直線状の壁を設けることで泡が高さを保ったままノズルから離れるようになり、あるいはまた、吐出部の片側を削ることで泡を吐出する方向をコントロールすることができたり、さらには、泡の奥行き感を出すために、ノズルそのものに高低差をつけるなど、試行錯誤を重ねた結果、思い通りの泡形状を造作することができるようになった。

なお、ノズルの作成には、昨今急速に開発が進んでいる「3Dプリンター」の存在は欠かせない。パソコン上で自由にノズル形状をデザインし、それをすぐに正確に具現化することができる。また、ハンドソープやヘアカラー、食器洗い洗剤など、泡の特性を要素とするそれぞれの用途に応じた製品開発にたずさわる自社研究担当者との情報交換の機会も、大きな役割を果たしたという。

参考リンク
花王株式会社

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