【連載】大手化粧品会社の研究(66)武田コンシューマーヘルスケアの会社研究 ~漢方使用の化粧品開発に力~(下)

2018.12.18

特集

編集部

武田コンシューマーヘルスケアは、女性用育毛剤「みやびか」(商品名)を通販市場に投入してキャンペーンを張るなど販売に力を入れている。
みやびかは、センブリや甘草由来成分など4つの有効成分と月桃葉エキスなど3つの和漢植物に備わる潤い成分を配合したもの。
同社は「加齢による頭皮の血行不良や乾燥でヘアサイクルが乱れて薄毛、抜け毛などを防止する機能を持つ」という。
現在、同社の通販ショップでみやびかに加えてシャンプー、トリートメントをセットで通常価格の62%オフで販売するなどキャンペーンに力を入れている。

通販限定でスキンケアの販売にも力を入れている。現在、通販市場に投入している主なスキンケア化粧品は、天然植物成分から3つの和漢ハーブをブレンドした薬用化粧品「グラフィエスキンケアシリーズ」(4種類、9品目)やボディケア(約4種類)などがある。

グラフィエスキンケアシリーズは、3つの和漢ハーブをブレンドしたもので、女性用育毛剤同様、自社栽培植物園「京都薬用植物園」(写真)で栽培した和漢生薬が配合されている。
武田薬品工業所有の植物園は、約9万平方メートルの敷地に漢方処方園や中央標本園などを配置し、植物2400種類、そのうちの1200種類が薬用植物栽培で占める。
武田薬品工業は、漢方薬の主要な原料である生薬「カンゾウ」の量産に日本で初めて成功し、2020年までに同社製品に使うカンゾウをすべて国産に切り替える方針。

カンゾウは、漢方薬の7割以上に使われる中国原産の植物。日本では、厚生労働省が定める有効成分の基準量を満たして量産するのが難しく、年間、1万6000トンが中国から輸入。日本企業は、国産を含むほかの生薬と配合して漢方薬に仕上げている。しかし、中国では生薬が漢方のみならず化粧品、食品にも使われるようになり価格が急騰。
そうした状況の中で武田がカンゾウの量産化にめどをつけたことで、自社商品へのカンゾウ使用に拍車がかかる状況にある。引き続き、漢方を使った薬用化粧品の開発に拍車がかかるものと期待される。

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