【連載】大手化粧品会社の研究(90)ロフスの会社研究 ~中国で化粧品売り上げ実現、グローバル化に拍車~(下)

2019.04.24

特集

編集部

ロフスは、中国で化粧品の販売実績を上げるなど海外展開に拍車がかかっている。すでに主要ブランド「マブティシリーズ」を中心に売り上げの約7割が中国の売り上げで占めており、2019年度は米国、シンガポール、ベトナムにも進出してグローバル化に拍車をかける構え。

中国進出を実現し、売り上げを上げることができた理由は、ECサイトのバイヤーや起業してからの卸業を通じて美容品業界でネットワークを築いてきたことが大きい。
中国進出にあたって同社は、SNSに発信する情報が大きな影響力を持つ人物「人気インフルエンサー」が発信する情報を企業が活用して宣伝するマーケティング「KOL=Key Opinion Leader」の発信を中心としたネットマーケティングに取り組んだ。しかし、中国は、フェイスブックやツイッターなどのSNSは、中国国内で閲覧・使用に制限がある。その代替として微信(WeChat)や微博(Weibo)といった独自のSNSが開発され、10億人規模のユーザーが利用している。

同社は中国に足しげく通い、50万人以上のフォロワーを持つKOLたちと親交を結び、商品を直接卸すことで多くのSNS発信を得た。
この結果、SNSでの拡散からそのまま購入できるラインを複数展開し、同社の商品を扱うショップは淘宝網(アリババグループが運営するアジア最大級の個人間取引サイト)に300店舗(2019年2月現在)ショップを開設するまでになった。 いわば、SNSやショッピングWEBモールを戦略的に活用することで、業績アップに繋げた。

2017年12月に中国で販売した「マプティ」シリーズの販売実績が、2019年4月で累計40万個を突破した。わずか1年半での快進撃達成であった。
また、他社に先駆けて中国で化粧品「マブティシリーズ」の一般輸入に必須の許可書「NMPA」を申請し、取得したことも現地バイヤーの仕入れ意欲を高め、実店舗での販売を後押しすることに繋げた。

同社は、中国のパートナーを通じてOEM製品の短期納品が可能としてそこを切り口にしながらOEM事業も拡大する計画。「数年後には、メーカー・卸・OEMを3つの柱として利益の割合をメーカーとしての売上比率50%、卸20%、OEM30%」の目標を設定しOEMを強化する。
さらに、中国に加えて女性の悩みに応えるニッチな商品を開発しながらシンガポール、ベトナム、タイ、アメリカ等に進出し海外展開を加速する。

美容ベンチャーとして販売戦略が明確であり、先行きの経営羅針盤もはっきりしている。しかし、第2、第3の新商品が見当たらない。成長を持続するためには、新技術、新製品開発は、不可欠である。そこに切れ目のない持続可能な発展がある。

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