【連載】化粧特許と知的財産権⑬サラヴィオ化粧品、経営の羅針盤必要(下)

2019.07.12

特集

編集部

サラヴィオ化粧品は、RG92の有用エキスから糖脂質等を抽出し、外皮や体内の炎症を抑える抗炎症、抗糖化、抗老化の効果を生かして化粧水、保湿オイル、保湿クリーム、美容液などの化粧品開発に拍車をかけた。
2019年6月現在、同社が開発した化粧品は、代表的な商品にのし上がった「育毛ミスト」や「サラヴィオ美容液」等を含むスキンケア約30品目、ヘアケア32品目、ボディケア9品目、スポーツケア7品目の合計約78品目に上る。

これまで、インターネット販売及び通信販売を主体に販売してきたがここへきて全国の理容室、美容室、ドラッグストア、量販店などに卸販売するなど販売網を拡大している。
一方、同社は、海外事業を急速に拡大している。同社の特許成分「RG92」に関連する海外向け事業が中小機構主催の「海外ビジネス戦略推進支援事業」に採択。また、日本貿易振興機構が開催した「ジェトロ・イノベーション・プログラム」に「将来性が期待できる特許をもつ企業」として選出されるなど政府機関の後押しを踏まえながらグローバル展開に打って出た。
すでに、シンガポール、ベトナムに続きスリランカで専用ショップを立ち上げた。スリランカ最大の輸出入企業であるキングスターグローバル社との共同事業による。
米国への進出も視野に入れる。すでに米国で進出に関わるフジビリティスタディ調査を実施。本格、進出を検討中。

こうしたグローバル展開や化粧品、医薬品開発を見据えた研究開発の強化による資金投下など資金需要は引き続き旺盛な状況。
同社では「IPO=株式公開は資金調達の手段の一つ。ただ、温泉という特殊な研究をしている関係上、ノウハウも機密事項もたくさんある。特許や権利関係を守りつつ上場できる方法を模索していきたい」と資金調達に根差した株式公開に意欲を燃やす。
中長期的な業績目標について同社は「5年で100億円、10年で1000億円の売上高を目指す」方針としている。
その根拠として「痛み」に関する市場について「2030年までに世界で500兆円、国内で160兆円産業になる」と市場規模からはじき出したもの。だが肝心なことは、市場規模の中で、どのような戦略を立てて市場を攻略し、収益に繋げるのか、具体的な戦略が見えない。

数字だけを目標として掲げることは誰もができる。株式公開を計画していればなおさら、中長期の経営計画を策定し、多くのステークホルダーに賛同を得ることが重要だ。経営の先行きを示す戦略的な経営羅針盤を明確に示す必要がある。

#

↑