〇解説記事③マイクロプラスチックに揺れる化粧容器 ~マイクロプラスチック、生態系を破壊~(Ⅰ)

2019.09.6

特集

編集部

大きさが5mm以下のマイクロプラスチック(写真)が海洋生物の生態系を破壊するとして深刻な問題を投げかけている。レジ袋やストロー、食器、化粧容器など多種多様なプラスチック製包装材(写真)が海洋投棄され、長い期間、海に漂いながら微細化。微細化したマイクロプラスチックとそれに付着した有害物質を摂取した魚貝類や甲殻類、カモメ、アザラシ等の海洋生物が吸引して死に至らしめるなど深刻な環境問題として浮上している。また、マイクロプラスチックは、海洋だけのみならず風に飛ばされて陸上にも運ばれ土壌を汚染する。

九州大学、東京海洋大学の研究グループによると海洋に存在するマイクロプラスチックの個数は「日本を含む東アジア海域が群を抜いて多く172万個(1㎢当たり)にのぼる」との調査結果(2016年予測)を公表した。
その数値は、北太平洋(10万5100個・1㎢)の約27倍、世界の海(6万3320個・1㎢)の約16倍に達するというもの。さらに、世界の海のマイクロプラスチック量は、さらに上昇を続け2060年までには、現在の4倍に達するなど世界の海がマイクロチップで埋め尽くされるとの予想数値を明らかにした。

こうしたマイクロプラスチックが海を覆い尽くし生体に影響を及ぼしている状況に対して世界45カ国以上の国々がレジ袋の使用禁止を打ちだす一方、欧州議会では、ストロー、食器などのプラスチックを2021年から使用禁止することを決定。さらにユニリーバやP&G、ロレアルなどの世界的企業も自社製品からマイクロビーズ(直径が0.5mm以下のプラスチック粒子)を排除することを発表した。
とりわけ、マイクロビーズは、肌の古くなった角質や汚れを除去する作用があり洗顔料・歯磨き粉・化粧品などに広く用いられている。
日本では、1980年代にマイクロビーズを含んだ洗顔料がヒットし「スクラブ」の名称で一気に広まった。しかしマイクロビーズには、毒素や汚染物資などを吸収する性質があり、微細であるため、2012年頃から環境面での問題が本格的に指摘されてきた。

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