〇解説記事④人工皮膚化粧品の研究開発に力 ~グンゼなど医療用の人工皮膚を開発・販売~(Ⅳ)

2019.09.26

特集

編集部

人工皮膚化粧品の商品化に期待が高まる中で、すでに火傷の治療など医療用の人工皮膚(医科向け)が商品化されるなど進展を見せている。
肌着大手のグンゼ株式会社(大阪府大阪市)と京都大学附属病院形成外科の研究グループらは共同で、人工皮膚「ペルナックGプラス」(写真)を開発した。
「ペルナック Gプラス」は、コラーゲンスポンジ(アルカリ処理ゼラチン含有)と補強フイルムからなる二層性のコラーゲン使用の人工皮膚。
同商品は、熱傷III度、外傷性皮膚欠損、 腫瘍・母斑切除後の皮膚欠損、皮弁採取部などの治療部位に貼付することにより、埋植部からスポンジ層の空隙内に侵入した線維芽細胞によって新しい真皮様組織が形成される。

2018年4月に国の製造承認を受けるとともに保険の適用を受け2019年1月から医科向けに販売を始めた。
グンゼは、早い時期から人工皮膚分野に参入し1993年に「ベルナック」の販売承認を受けた。しかし、従来品は、皮膚修復に2週間以上かかるほか、傷が治りにくかったり、感染症を引き起こしたりするリスクがあった。そこで同社は、京都大学と組んで、これまでの人工皮膚での治療が困難だった糖尿病性皮膚潰瘍で皮膚が欠損した患者にも使用できるように従来品を改良するなどして新たな人工皮膚「ペルナック Gプラス」開発に繋げた。

ところで、皮膚が広範囲にわたって失われた場合、移植するために十分な面積の正常皮膚が得られないことがある。
そこで、富士フイルムの子会社の株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(愛知県蒲郡市、J-TEC)は、患者自身の正常な皮膚から増殖能力が優れた表皮細胞を取り出して人工的に培養し、皮膚のようにシート状にしたものを受傷部位に移植する培養表皮移植の技術を開発した。
同社が開発した細胞組込型人工皮膚は、重症熱傷などを再生治療する「ジェイス」(2007年10月製造販売承認、2009年1月保険適用)と軟骨、ひざ関節等領域における再生医療等製品「ジャック」(2012年製造販売承認、2013年保険収載)でビジネスに拍車がかかっている。

株式会社セルシード(東京都新宿区、ジャスダック上場)は、細胞シートを用いた「再生医療の事業化」に乗り出している。同社の細胞シートは、ヒトの細胞を採取し、シート状に培養して作製した薄い膜で、これを患部に貼ることで細胞や臓器等の再生を図るもの。この細胞シートを駆使して角膜、心筋、歯根膜などの治療法開発を進めている。

国内における再生医療は、2014年11月に「医薬品医療機器等法」ならびに「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」が施行されたことをきっかけに現在、細胞シートの開発や移植の・臨床がスピードアップするなど人工被膜のすそ野が拡大している。

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