【連載】化粧品が起こすイノベーション・この技術に注目⑨リポソーム技術、化粧製剤として期待(下)

2020.03.10

特集

編集部

リポソームを膜モデルとして利用する研究は、化粧品の安全性評価に用いるケースが多くみられる。化粧品における安全性は、第一義的に刺激性であり、最終的には、短期間再現性の評価を行うためにリポソームを細胞膜モデルとして応用するケースがみられる。
化粧品におけるリポソームの応用は、経皮によるもので、標的となる期間も皮膚そのものとなる。したがって経皮吸収促進剤のように薬剤を血中まで吸収させる効果よりも薬剤を皮膚中に長くとどめることの方が化粧品としてメリットとなる。

リポソームを経皮適用製剤に用いる利点は
①生体膜成分からなるため安全性、生体親和性が高い
②水溶性と油溶性薬剤成分の両方を内包することができる
③脂質や被膜高分子を応用することで内包物の萌出速度をコントロールすることができる。
スキンケア化粧料としては、リン脂質が有する保湿性は、重要な利点といえる。

一方、リン脂質を経皮吸収促進剤として評価ケースも多い。これは、リン脂質が1種の界面活性剤として働いていることを示すもので、安全な経皮吸収促進剤として注目されている。
化粧品におけるリポソームの有用性は、皮膚に対して親和性の低い水溶性の有効成分をリン脂質からなる脂質カプセルに内に封入することで、皮膚親和性を改善すること。また、リン脂質自身が持つ保湿効果等が挙げられる。
保湿剤、美白材、抗酸化剤などの有効成分をリポソーム内に内包させることで、水溶性薬剤の皮膚透過性を高め、有効成分の萌出をコントロールし、長時間効果を持続することが期待できる。

こうした中、化粧料としてリポソームを考えた場合、塗布した後の内包された薬剤の血中や尿中への分配性の向上よりも皮膚中での滞留効果の改善といった表皮レベルでの効果が重要視されている。
化粧品にとってリポソームを構成するリン脂質事態の保湿効果は、重要な要素といえる。リポソームは、一定の条件をクリアすれば化粧品製剤としてとして十分、応用可能なことが化粧品会社や大学等での研究から報告されている。また、皮膚にとって有効な薬剤の対流性の向上や保湿効果の高い有効な製剤であることが多くの研究機関からで確認されている。
今後、多くの薬剤適合性や有効性の研究が課題であり、化粧製剤として一般的な製剤であることが期待される。

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