【連載】化粧品が起こすイノベーション・この技術に注目⑭顔のたるみ評価法、振動幅も評価に、フラーレン原料で効果実証(上)
2020.03.30
編集部
一般的に顔のたるみ判定は、視感判定で行われることが多い。また、評価形態を3次元計測装置で撮影し、その計測データを解析して各種パラメーターを用いて評価する手法も盛んになっている。顔のたるみに関わる各社の取り組みを検証した。
顔のたるみの評価技術について株式会社ノエビア(兵庫県神戸市)は、従来から行われてきた「皮膚弾力性」と「皮下脂肪の暑さ」の評価項目に加えて、顔振動時の「振動幅」を加えた評価法を編み出した。
研究成果は
①皮膚弾力性を測定し、見た目がたるんでいる人ほど弾力性が少ないことが判明
②皮下脂肪の厚さを測定し見た目にたるんで人ほど皮膚内部の脂肪が厚いことが分った
③顔に振動を与えた時の振れ幅についてレーザーを使って測定した結果、たるんで見える人ほど大きく震えることがデータから得られた。
同社は、この3項目を用いることで新しくたるみを評価する式を導き出すことができ、この評価法を使うことでたるみ度合いやたるみの改善度合い測定することを実現した。
ビタミンCバイオリサーチ株式会社(東京都中央区)は、製造販売するフラーレン化粧品原料の一つ「リポソーム化用フラーレン」(モイストフラーレン)にて、たるみを改善する効果を確認した。
フラーレンは、肌の老化やトラブルの要因となる活性酸素の消去能(抗酸化能)の優れたエイジングケア成分として美白や抗シワ、肌荒れなどに対する効果が確認されている。
2015年8月に発売したモイストフラーレンは、フラーレンの抗酸化効果に加え、保湿効果や浸透性も確認されている化粧品原料。
同社は、東京工科大学との共同研究で、エイジングの悩みとして多くの女性を悩ませている「たるみ」に対する効果をモイストフラーレンを用いて臨床試験で確認しましたもの。
試験方法は、モイストフラーレン1%配合美容液を顔の半分にのみ、朝・晩のスキンケアに追加して28日間塗布。そのうえで、モイストフラーレン塗布部と無塗布部で、たるみと肌色の変化量を測定し比較した。たるみの測定方法としては、顔面にシールを貼り、座っている時と寝ている時の各シールの移動距離を測定した。
たるみの評価結果は、目の下の移動距離の平均値及び下頬のずれの平均値についてモイストフラーレンによってたるみが改善し、ひきしめ効果を確認した。 また、モイストフラーレン配合美容液を28日間使用後、使用前と比較すると、分光反射率があがり、肌の透明度が改善した。こうした試験から、モイストフラーレン配合化粧品を1ヵ月間使用することで、肌のたるみ、透明度が改善した。このことから同社は、保湿と抗酸化力に優れたモイストフラーレンを化粧品に配合することで「高いエイジングケア効果が期待できる」としている。