【連載】この中小化粧品会社に注目⑬ハイム化粧品(上)~EBOで社員が会社を継承~

2020.09.23

特集

編集部

ハイム化粧品株式会社(千葉県松戸市)は、エンプロイー・バイアウト(Employee Buy-Out=略称EBO)方式で、社員が経営権を引き継いでから今年8月で、13年が経過し、経営が軌道に乗ってきた。
エンプロイー・バイアウトは、企業買収(M&A)の一種で、会社の従業員がその会社の事業を買収したり経営権を取得したりする行為のこと。

2007年8月に化粧品販売会社「ハイム」(1961年設)と化粧品製造会社「ハイム化学」が倒産した。ハイムは、流行を先取りした格好で販売先や愛用者を増やし続け、ピーク時には38億円という売上を計上するまでに成長した。
ところが、当時の経営者は、資金繰りを誤り、2007年8月に東京地裁へ自己破産を申請。製造会社などグループ計3社の負債総額は、約20億円強にのぼり倒産した。
倒産後の2008年7月に社員5名が資本金を出し合い、新会社「ハイム化粧品」を設立し、EBOによる経営と事業を承継した。

EBOのメリットは、スムーズな会社の引き継ぎができること。EBOを行った場合には、経営権の譲渡だけで済む。
経営権が従業員に移るが、会社自体は大きく変わることがないので、スムーズに経営を引き継ぐことができる。特に、同社の場合、売り上げの約6割を生協向けで占めるなど、経営権が変わっても販路が従来通り踏襲できるなどのメリットは大きいものがあった。
半面、EBOのデメリットとして資金調達の難しさがある。従業員は、会社の株を購入するため、まとまった資金を用意しなければならない。
従業員が、会社の株を購入するための資金を調達する方法として銀行などの金融機関による融資がある。だが、会社の株を購入するという目的での融資は、審査が厳しい。資金が用意できなかった場合は、EBOが失敗に終わることもある。

こうした難問を抱える中で、同社のEBOが成功した背景には、政府が進める企業の跡取りを見つけ経営再建を図る事業承継制度があった。
中小企業の「企業30年説」や経営者の高齢化などに伴う後継者問題で中小企業の経営が危機に追い込まれるなど事業承継が一挙にクローズアップした。
同社のEBOは、国の事業承継制度に合致し、地域のモデルケースとして浮上。地元の商工会議所や地元金融機関も共同歩調をとってバックアップし、金融調達にも道を開くなどEBOを成功に導いた。

ともあれ、EBO方式で社員が会社の経営権を買い取って経営を引き継いだのは、化粧品業界では珍しいケース。

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