【連載】この中小化粧品会社に注目(59)アンチエイジング(上)~化粧品原料のヒト幹細胞培養液開発~

2021.05.18

特集

編集部

アンチエイジング株式会社(東京都港区)は、ヒト幹細胞培養液(原料)の開発と製品企画を手掛ける幹細胞原料メーカー(2012年8月設立)。このヒト幹細胞培養液配合の自社ブランド化粧品を製造販売とOEM事業を行っているのが、2017年4月に設立した同族企業コスメシューティカル株式会社(東京都港区、旧オビアス)が担当している。コスメシューティカルは、2018年6月に化粧品製造販売許可を取得し幹細胞コスメ事業に本格参入した。

ヒト幹細胞培養液とは、幹細胞を培養する際に分泌する成分を大量に含んだ培養上清(写真・ヒト幹細胞培養液エキス)のこと。
幹細胞は、様々な細胞に分化できる特異な能力を持ち細胞が分泌する時、たんぱく質を分泌することが知られている。そうしたたんぱく質を分泌する効果を化粧品に活用できるようにしたのが幹細胞培養液といわれるもの。
同社のヒト幹細胞培養液は独自技術で培養している。ローリングボトル(常に回転している培養専用ボトル)で培養し刺激を与えることによって、幹細胞がエクソソームなどの優れた成分を豊富に出すようにプログラムしている。

幹細胞培養液を化粧品とするためには、培養する幹細胞を採取するドナーの選定から厳しい基準がある。ドナーから幹細胞培養液を製造するためドナー提供者の了承を経て幹細胞を無償提供してもらっている。これは臓器提供と同じレベルの手続きが必要。​ 通常、ドナーは、健康な20〜30代の女性で、幹細胞採取時に感染症の有無や遺伝性の疾患などの検査が行われ、問題がないことを確認する。脂肪細胞とともに採取された幹細胞は、脂肪細胞を取り除かれ、感染症の潜伏期のリスクを避けるため、6ヶ月間、凍結保存される。幹細胞採取から6ヶ月後に改めてドナーの感染症のチェックを行い、安全が確認された後、解凍されて培養が始まる。一般の化粧品原料と違って厚生労働省から「生物由来原料基準」が適用される。

同社が開発し現在、事業化している主な幹細胞培養液は「REMYSTEM」「REMYEV」「RSLIPOSOME」「RSLIPOSOME3.0」「RSMIXTURE9.6E」などがある。
REMYSTEMは、細胞の数を増やさないように培養し刺激を加えることで、多くのタンパク質を分泌させる。そのため、REMYSTEMは、タンパク質を豊富に含んでいるのが特徴。
脂質の二重になったカプセルのような構造をしたリポソームを加工した幹細胞培養液は、30%濃度のヒト幹細胞培養液リポソーム「RSLIPOSOME3.0」とヒト幹細胞培養液の濃度を10%にし、購入しやすい価格帯にした「RSLIPOSOME1.0」、ヒト幹細胞培養液96%含有する「RSMIXTURE9.6E」は、美容関連施設でエレクトロポレーションやプラズマなどの施術で使用されることを前提に開発されたことから、リポソーム加工されていない原料。

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