連載・異業種から化粧品分野に新規参入した上場各社の化粧品事業に迫る【13】キューピー、鶏冠抽出法など開発、ヒアルロン酸の大量生産を実現(中)

2015.02.17

特集

編集部

キューピーは、卵から有用成分を取り出し、化粧品、食品、医薬品の原料として活用するファインケミカルの研究開発を始めた。卵黄からは、乳化作用のあるレシチン、卵白からは静菌作用を持つリゾチームを抽出するなど大きな成果を上げた。また、2000年秋ごろから研究開発の対象を卵からニワトリに広げ鶏の鶏冠(とさか)から高純度ヒアルロン酸の抽出(鶏冠抽出法)に成功。さらに、同社が保有するヒアルロン酸の精製技術と食酢を製造する関連子会社キユーピー醸造の微生物発酵技術を組み合わせた新たな発酵法を開発、ヒアルロン酸の大量生産を実現した。

鶏のトサカから抽出した天然のヒアルロン酸は、鶏のトサカから特殊な製法で抽出、濃縮した原料(鶏冠抽出物)が使用されている。

こうした鶏冠抽出法と微生物発酵技術を組み合わせたヒアルロン酸の製造技術開発に伴いファインケミカル本部傘下の茨城・五霞工場敷地内に発酵法によるヒアルロン酸の生産工場新設を決め、約2億5,000万円を投じて2004年5月に本格的に製造を開始した。

同社の鶏冠抽出物は、コラーゲンを豊富に含んだたん白質と複合されたムコ多糖たん白含有が特徴。ヒアルロン酸含有量 は、100%近い鶏冠抽出物を誇る。特に、その機能性の研究に力をいれ、ヒアルロン酸の効果を確認するため、ラメラ構造(皮膚の角質細胞の間隙で、脂質層と水層が交互に並んだ構造を指す)の形成試験法で皮膚バリア機能が発揮されることを実証している。

同試験法では、生体外での試験「ラメラ構造形成の確認」とヒト試験「荒れ肌改善の確認」試験を行い、ヒアルロン酸の一部に疎水基を付けた「ヒアルロン酸アルキル誘導体」に、水分の蒸散を防ぐ皮膚バリア機能を修復する効果があることを確認したもの。また、ヒアルロン酸の効能・効果の試験では、肌角質への浸透や高い保水力などについても実証している。

平均分子量1万以下の浸透型ヒアルロン酸「ヒアロオリゴ」(国内特許4576583号、国際特許も取得)の肌角質への浸透試験では、蛍光ラベル化したヒアロオリゴの特異的な蛍光が検出され、角質層に浸透することを確認した(角質層水分量測定グラフ参照)。また、ヒアロオリゴ1%液をしみ込ませたガーゼを皮膚に24時間貼り続けた後、ガーゼ除去後の肌の水分量を確認した結果、従来のヒアルロン酸に比べて約2倍の肌水分量の改善効果を確認。さらに、ヒアロオリゴ1%液をしみ込ませたガーゼを1日8時間3日間貼り続けた後、ガーゼ除去後の肌の水分量を確認した結果、3日後でも肌水分量の増加が維持されていることが判明するなど肌水分の持続性を実証している。

角質総水分量測定グラフ_(2)

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