【連載】幹細胞化粧品開発元年【2】美容外科クリニックなどが美容整形に再生医療活用
2015.09.11
編集部
美容外科、美容皮膚科など美容医療領域にも再生医療が活用されている。皮膚の抗齢化(アンチエイジング)に伴う美容を目的とした再生医療は、自分の細胞を培養して皮膚、脂肪、毛髪をターゲットに再生するケースが見られる。
すでに美容分野では美容外科、美容皮膚科などの多店舗を展開しているクリニックを中心に自由診療として患者に施術が施されている。
患者自身の細胞を使った具体的な施術として脂肪由来幹細胞を用いた脂肪注入や培養毛乳頭細胞移植(毛髪再生)、コラーゲンやヒアルロン酸注射によるしわ治療などが見られる。
顔面やバスト、体型の若返りを目的として組織増大を行う再生医療の場合には、美容的に傷を残さない注入治療が優れており、ヒアルロン酸などのフィラーや自家脂肪組織の注入治療が行われる。また、上皮細胞の支持組織を構成する細胞の総称で、線維芽細胞や免疫細胞、血管内皮細胞、平滑筋細胞などが含まれる間質細胞(写真)には、血管や脂肪などへの分化が期待できる脂肪由来(前駆)細胞群が含まれていることがわかり、骨髄に変わる再生医療の幹細胞源として注目されている。
間質細胞は大量採取が可能であるため、培養せずに新鮮な状態での臨床応用も可能である。間質細胞を別に採取し混合して移植することにより、自己脂肪注入の効果を高める治療法も試みられている。
毛髪再生を目的とした再生医療も進展している。毛包幹細胞や表皮幹細胞などの上皮幹細胞は、表皮、毛包、脂腺など皮膚付属器などに分化する。毛包は上皮幹細胞が毛乳頭細胞からのシグナルを受けて形成される。
最近では、正常な機能を維持している自己培養毛乳頭細胞単独や自己培養毛乳頭細胞と自己培養表皮幹細胞とを混合して禿頭皮膚に移植する臨床研究も始まっている。
美容医療は、美的向上を実現し生活改善を目指す美容ビジネスだが、患者に中立で公正な情報を提供し、患者の自己選択・自己決定を徹底して医療の質とモラルの低下を防ぐための努力を続けることが必要。