【連載】エステ・理美容業界シェア争い激化(5)エステ・理美容業界シェア争い激化
2013.05.15
編集部
キュービーネットビジネスモデル輸出
「整髪10分1000円」を錦の御旗にして理美容業界に旋風を吹き込んだヘアカットサービスのベンチャー「キュービーネット」は、中国・香港とシンガポールを中心にアジア市場で出店攻勢をかける。国内で培ったビジネスモデルをアジア市場に輸出し、現地で日本式の低価格料金と接客サービスを提供。同時に、店舗ごとに利益計画を立てて生産性の向上を図りアジア市場の理美容需要を取り込む戦略。
理美容業界の中で同社の海外進出は、極めて早い。2002年にシンガポール、2005年香港、2012年台湾にそれぞれ出店した。現在までシンガポール、香港合わせた店舗数は、34店舗にのぼる。
海外展開に当たって同社は、日本から海外に向けた独自開発の理美容・接客技術、顧客・収益管理などヘアカットサービスのビジネスモデルを輸出と呼び現地での店舗運営に反映している。
シンガポール、香港の現地店舗では、券売機による料金先払い制、独自開発の髪の毛を吸い取る「エウオッシャー」を使った洗髪を始めトレーナーを派遣して現地採用の理美容経験者を対象にカット技術・接客法を教育。また、店長職には、店舗の生産性向上を図るため顧客管理や月次損益計算書を作成させて収益管理を行わせるなど日本流の商法を導入した。
このような現地での雇用促進と技術者の教育研修、店舗運営の効率化を図ったことで、現地の平均整髪料に比べてカット料を4分の1の低価格化を実現。現在、現地店舗の平均カット料は、シンガポール700円、上海650円で提供している。
こうした日本流ビジネスモデルを前面に押し出して当面、東アジアの大都市をターゲットに出店攻勢をかける。2~3年後に鉄道沿線、大型商業施設などの立地選定を行いながら総店舗数を100店舗(目標)に持って行く方針。
一方、国内での出店は、主力のサラリーマン向け店舗「QBハウス」に加えて30代女性向け店舗「キャトルポーテ」、ファミリー向け店舗「イッカ」、20代の男女向け店舗「ファス」の4業態店を中心に直営、FC加盟の両立てで出店攻勢をかけてきた。現在の総店舗数は、500店を数える。FC店は当初、個人の起業家を中心に加盟店を募っていたが最近では、鉄道、小売などの法人企業に比重を置いて加盟促進を図っている。
同社は、2010年にオリックス系列からジャフコ系列に入り現在、関係会社としてQBハウスの設備をリース・レンタルし新規開業者の融資業務を行うるキューアンドビーと店舗経営の指導を行うキュービーエス、海外進出などの支援を行うQBネット及び海外2現地法人でグループを形成している。今後、業績の伸長に伴い株式公開が現実味を帯びてこよう。
ビューティーガレージ上場
理美容業界の保守的構造の中で、今年2月にネット通販会社ビューティーガレージがベンチャー市場の東証マザーズに上場した。「美容業界を変える」を企業理念にして創業10年での上場となった。
今年6月に30万点(アイテム)を超す理美容機器・エステ機器などを展示した新ショールーム(東京都世田谷区、敷地約1000坪)をオープンする。これまで埼玉、横浜2ヵ所にあったショールームを集約し、展示のみならず販売も行う一大ショッピングセンター(SC)の業態を整える。また、本社を現在の杉並区から新SCの所在地に移す。
同社は、ネット卸サイト「ビューティーガレージオンラインショップ」を開設し、ネット会員15万サロンに対し中古品の買い取りや物販販売と関連会社で理美容・エステサロンに対する店舗設計・施行(タフデザインプロダクト)、人材採用支援(サロンキャリア)などの周辺事業で業績を伸ばした。今年4月には、サロンキャリアを100%子会社とした。
同社の業績は、上場して最初の決算に当たる2012年4月期(連結)売上高43億4000万円、営業利益2億5000万円、最終利益1億4700万円。2013年4月期、売上高52億4000万円、営業利益2億9000万円、最終利益1億7000万円となる見込み。今後、プライベートブランド(自主企画)による新製品の開発力とショールームでの対面販売の強化が課題。