【特別企画】大手各社の化粧品事業戦略に迫る[5] ニチレイバイオサイエンス、通販事業と化粧品原料販売に注力

2013.07.12

特集

編集部

シルヴァンの通販事業継承、化粧品原料販売に注力

2013年度から2015年度までの3年間中期経営計画をスタートさせたニチレイは、今年度、子会社ニチレイバイオサイエンス(2005年4月設立)が行う化粧品事業の黒字化を目指す。

ニチレイの化粧品分野参入は、100%子会社ニチレイバイオサイエンスと昭和電工が2009年4月に共同出資して設立した通販会社・株式会社シルヴァン(ニチレイバイオサイエンス60%、昭和電工40%出資)を起源とする。

ニチレイバイオサイエンスが化粧品の原料販売を手掛けていること。一方の昭和電工は、ビタミンC誘導体(中間成分)やビタミンEなど優れた機能性と安定性を有する化粧品原料を製造販売。両社は「炭酸での取引関係があったことや強みや得意とする原料の相乗効果によって業容拡大に繋がる」と判断、シルヴァン設立による化粧品分野に新規参入した。

第1弾としてシルヴァンが通販市場に投入したのは、彗星ランから抽出した保湿性に優れた成分と昭和電工から供給を受けたビタミンC誘導体を配合した化粧品6種類。しかし、価格を含むマーケティング戦略の甘さから両社は、2011年にシルヴァンを会社清算。2012年4月以降、現在までニチレイバイオサイエンスが化粧品の通販事業を継承している。

同社は「お客様と直接やり取りが出来る通販事業という特性を活かし機動力を発揮しながら、顧客に対して商品の良さを訴求して行きたい」として今年度、黒字化を目指す方針。

ここへきてニチレイバイオサイエンスは、化粧品の通販事業と合わせて化粧品原料の開発・販売にも力を入れて取り組む。

アセロラエキス現在、自社開発の化粧品・医薬部外品製造専用原料として「アセロラエキス」「ローズフルーツエキス」「プラセンタエキス」の3種類と化粧品製造専用原料「あかひめ」の4種類の主要原料を化粧品メーカー向け中心に販売している。

アセロラエキス(2000年販売)は、アセロラ果実から精製水でビタミン、リンゴ糖などの成分エキスを抽出しブチレングリコールを添加したもの。2012年には、ローズヒップエキスとプラセンタ(胎盤)エキスを市場投入した。

ローズヒップエキス(2011年販売)は、ポリフェノールを含有し、ニキビ対策に適した機能など7つの有効作用を持つ。プラセンタエキスは、豚の胎盤を凍結して融解し、高圧下で水溶性成分を抽出(高圧抽出法)したエキス。生体内と同じ分子構造を保った状態で成分を抽出することを実現した。「あかひめ」は、バラの花弁から抽出したエキスでポリフェノールや糖類アミノ酸などの成分を含む化粧品専用の原料。

これらの原料は、今年度から力を入れてグローバル市場に挑戦する組織染色製品(免疫組織化学染色試薬、細胞培養用試薬など)を含めて開発している開発センター(東京都東村山市)で誕生させた。

これらの原料販売は現在、営業部機能性素材営業チームが中心となって国内化粧品業界向け中心に販売。輸出はしていない。今後、原料販売について化粧品などのユーザーに対し、原料の成分機能の訴求性とブランド浸透をいかに図るか、収益向上のカギを握る。

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