幹細胞コスメの最近のトレンド京セラ・理研、オーガンテクノの幹細胞研究 ~3社が脱毛症の治療で合従連衡~(上)

2017.12.25

特集

編集部

京セラ株式会社(京都府京都市)と理化学研究所(理研)及び再生医療ベンチャー「オーガンテクノロジーズ」(理研発ベンチャー、理研の知財権利を保有、東京都港区)の3社は、再生医療「毛包器官再生による脱毛症の治療」(図・毛包器官再生による脱毛症の治療モデル)に関して共同研究することで合意。3社は、2016年7月に契約を結んで以降、現在まで3つの開発内容を設定して、理研融合連携イノベーション推進棟(兵庫県神戸市)を拠点にして取り組んでいる。

3社の共同研究は、毛髪の種に相当する毛包から採取した幹細胞から毛包のもとになる「毛包原基」を再生して患者に移植し、再生毛包原基から髪が生えるようにする毛髪再生治療の実用化を目指すもの。
毛包原基の再生技術は、理研の器官誘導研究チームが開発した「器官再生」手法に基づいて開発する。

分裂・分化によって増殖する能力を持つ2種類の幹細胞(上皮性幹細胞と間葉性幹細胞)を培養した後、ゲル状媒体(コラーゲン)内で適切に配置することによって様々な器官を再生できる組織を作り出す。作った組織を生体に移植して器官を再生すると、筋肉など周囲の組織と一体化して元からあった器官のように機能する。
こうした皮膚内で毛髪を生む「毛包」と呼ばれる2種類の幹細胞を分離し、加工して作った再生毛包を移植する手法をヒトに応用する。

これまで理研の器官誘導研究チームは、歯や毛包、分泌腺(唾液腺、涙腺)など幅広い種類の器官再生が機能的に可能であることを実証してきた。
同研究チームは2012年、成体マウスのひげや体毛の毛包器官からバルジ領域に存在する上皮性幹細胞と間葉性幹細胞である毛乳頭細胞を分離して、「器官原基法」により毛包原基を再生する技術を開発している。
この再生毛包原基を毛のないヌードマウスに移植すると再生毛包へと成長し、毛幹(毛)を再生できることを実証している。

今度の毛包器官再生による脱毛症の治療技術には、理研の研究チームが実証した器官再生技術を応用するとともに現在、理研とオーガンテクノロジーズが毛包由来幹細胞の培養・増幅技術やヒトへの臨床応用に向けた細胞操作技術の開発、製造工程の確立、モデル動物を用いた前臨床試験などに取り組んでいる。また、オーガンテクノロジーズは、次世代人工 皮膚器官系モデル. 皮膚付属器を有して皮膚機能を包括的に再現しうる三次元ヒト人工 皮膚モデルを開発し、機能性化粧品・医薬品等の創出に繋げる。

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