【連載】大手化粧品会社の研究①ポーラ・オルビス ホールディングスの会社研究 ~集客型店舗と百貨店店舗で販売注力~(上)

2018.01.29

特集

編集部

連載「大手化粧品会社の研究」

国内化粧品の市場規模は、経済産業省によると2017年で、2兆5000億円市場を形成した。海外観光客の旺盛な購買意欲に支えられて需要が伸びているもので、このインバウンド需要は東京オリンピックまで続く見通しにある。しかし、海外のインバウンド需要を差し引いて見ると、個人の購買は必ずしも好調とはいえない。月間購入単価も平均3000円から5000円と頭打ちの状況にある。販売数量が伸びている半面、単価の伸び悩みで収益性は必ずしも喜べる状況ではない。また、異業種から新規に化粧品分野に参入したケースが相次ぎ、1095社にのぼる化粧品企業同士の過当競争に拍車をかけている。

そこで、国内大手化粧品メーカーを対象に経営資源全般に視点を当てながら事業の特性を浮き彫りにした。

 

連載1・ポーラ・オルビス ホールディングス ~集客型店舗と百貨店店舗で販売注力~(上)

株式会社ポーラ・オルビスホールディングス(東京都中央区、HD)は、株式会社ポーラ(東京都品川区)、オルビス株式会社(東京都品川区)、ポーラ化成工業株式会社(神奈川県横浜市)など37社でグループを形成し、ビューティケアを中心に事業を展開している。(表にポーラ・オルビスの会社概要を示す)

ビューティケア事業の主軸企業ポーラは、日本全国の販売委託先のショップオーナー・マネージャーと委託販売契約を締結し、会社から直接指導を受けた販売パートナーによるカウンセリング委託販売契約に基づき訪問販売によるカウンセリング販売を特徴とする。最近では、エステサービスの充実、エステと化粧品を融合した集客型店舗「ポーラザビューティ(平成28年12月末647店舗)」の展開や百貨店等への出店拡大など店舗販売にも注力している。

商品としては、研究成果のエイジング・ホワイトニング技術や肌分析システムに蓄積された約1680万件のデータを活用したスキンケア商品が中心となっている。また、ホテル、施設等事業者を対象としたシャンプー等の業務用品も取り扱かっている。さらにボディファッション品(下着、ナイトウエア等)やアパレル品、宝飾品、着物を取り扱っている。

主力事業の訪問販売チャネルでは、全国4625拠点のショップ、4万868人のビューティディレクター(平成28年12月31日現在)を通じたカウンセリング販売を行っている。
同チャネルでは、委託販売制度(委託販売契約に基づく取引の概略図参照)を採用しており、ポーラが商品の販売を委託したショップオーナー・マネージャーと各ショップショップオーナー・マネージャーから販売の再委託を受けたビューティディレクターが顧客に商品を販売している。

ポーラの売上は、ショップオーナー・マネージャー、ビューティディレクターが顧客に商品を販売した時点で計上され、販売実績に応じた販売手数料がポーラから支給される。また、ショップオーナー・マネージャーには、ショップの販売実績(再委託先のビューティーディレクターの販売実績を含む)に応じた販売手数料が支給される。

ところで同社は、平成28年1月から呼称を以下に変更した。

①営業所=ショップ、営業所長=ショップオーナー・マネージャー、ポーラレディー=ビューティディレクター

②委託販売契約に基づく販売パートナーで個人事業主のショップは、同社グループ外の独立した組織

③販売パートナーのビューティディレクターが自ら育成した人材と合わせて月平均売上が150万円以上になると、本人の申請に基づきショップとして独立できる

ショップオーナーとは、ショップの責任者で日常の販売活動、ビューティ―ディレクターの採用、育成、商品管理をおこなっている。

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