【連載】大手化粧品会社の研究⑪ホーユーの会社研究 ~毛髪剤を消費者・プロ向けに販売、ヘアカラー専門家育成も~(中)
2018.03.14
編集部
ホーユーが現在、市場に投入しているヘアカラーなどの染毛剤は、コンシューマ向け(一般消費者)、プロユース向け(理美容室などプロ用向け)、海外向け合わせて約2500品目にのぼる。
ヘアカラーの国内販売を担当する社内部門は、営業統括本部が管掌している。営業は、消費者向け営業とプロフェッショナル営業とに区分される。
消費者向け販売は、代理店を通じてスーパーやコンビニ、ドラッグストア、化粧品店、ホームセンター等に卸販売し消費者に販売する形態をとっている。
一方、理・美容サロンなどのプロユース向け営業は、プロフェッショナル事業本部が管掌し、代理店を介して理美容サロンに卸販売する形態となっている。特に、卸販売先のドラッグストアや薬局薬店などとの取引は、2009年9月に旧カネボウ傘下のクラシエグループ買収に伴い、販売チャネル拡大に効果を上げている。
同社の営業力をさらに押し上げているのが、全国5都市に開設している「ホーユースタジオ」でのヘアカラーリング技術を中心とした美容師向けセミナーの開催。また、ヘアカラーリスト養成のための教育機関「ホーユーテクニカルアカデミー」(写真=1997年職業訓練校として認定)は、毎年200名近い美容師がヘアカラーリングのスペシャリストとして巣立ち、ヘア業界やファッション業界で幅広く活躍している。こうしたプロを通じて毛髪化粧品が消費者に浸透するなど波及効果をうみだしている。
1997年に職業訓練校の認定を受けた「ホーユーテクニカルアカデミー」は、ヘアカラーリングの基礎技術を確実に習得した多くの「ヘアカラーリスト」を育成している。
こうした同アカデミーを卒業し、専門意識を持つタ多くのカラーリストが理美容サロンに勤め、サロンで使用する毛髪商品の購入を行うなど商品の好循環を果たす役割を演じている。
同社の業績(表参照)は、2017年10月期で売上高が約500億円にのぼるが、こうしたカラーリストという専門知識を持った人材を育成し業界に送り出すなど業界の発展と同社の業績向上に繋げている動きとして注目される。