【連載】大手化粧品会社の研究⑱ピアスの会社研究 ~機能性化粧品の開発を強化~(下)
2018.04.20
編集部
ピアス株式会社を中核企業としたピアスグループが現在特に力を入れているのが、「有形」(物販)から「無形」(サービス)にシフトした事業展開。
ホテルや百貨店を中心に展開する直営エステティックサロン「カージュラジャ」の運営や新規化粧品「エリザベス・アーデン」の国内展開、米国ビバリーヒルズ発祥のアイブロウサロン「アナスタシア」の事業など、メーカーの枠を超えて事業領域を拡大している。
早くから海外進出にも打って出ており50年の歴史を持つ。2007年には、ニューヨークに米国販売会社を設立。また、「カバーマーク」「ケサランパサラン」「アクセーヌ」「オリリー」などのブランドを中国・台湾・香港・タイ・シンガポールなどで展開。今後、市場拡大が期待される中国での展開に力を入れていく方針。
ピアスグループの事業を図る上で欠かせないのが研究開発力だ。ピアスグループは「中央研究所」(写真)を中心に研究に基づく技術、素材の開発から先端的な皮膚科学の研究まで次世代の美容と健康を追求している。特に、ピアスグループの事業が広がるにつれて中央研究所での研究も多様化している。
ピアスグループの各ブランド戦略に適応した製品の開発やより高い安全性の確保も重要なテーマになっている。さらに、今後成長が見込まれる機能性化粧品や医療分野に加えて、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーといった未来の展開を見据えたテーマにも挑戦している。
ピアスグループの美容ポリシー、および美容理論を開発し、それを基に各ブランド独自の美容理論と美容技術を確立しているのが「美容研究所」である。
同研では、色彩・トレンドの研究を行うカラーマーケティング手法や教育カリキュラムを構築してアテンダントスタッフやエステティシャンの知識・技術の向上にも取り組んでいる。また「中央研究所」によるシーズや技術の研究成果に対しても美容的な着眼点からアプローチしている。
中央研究所などのピアスグループ研究者は、各ブランドの事業会社に属するマーケティングスタッフから依頼を受けて行うバルク(化粧品の中身)の開発と自らが設定したテーマによる新技術開発の両方に取り組んでいるのが特徴。
こうしたグループ企業の中で、ピアス100%子会社翠松堂製薬の事業展開も注目される。同社は、1570年、室町時代末期の創業。江戸時代には、時の関白二条家より直参調薬所としてのお墨付きをもらい「二条殿御薬所」として宮中をはじめ、全国的に秘伝の民間薬や漢方薬を販売してきた。2004年にピアス株式会社の100%子会社となる。
現在、通常のスキンケア化粧品に治療の側面を持たせた機能性化粧品という新たな分野の化粧品開発に挑戦するなど期待が高まっている。