【連載】大手化粧品会社の研究⑲クラブコスメチックスの会社研究 ~化粧品ギャラリーを開設、化学遺産の洗い粉等展示~(

2018.04.25

特集

編集部

クラブコスメチックスは、明治から平成に至る化粧品の企業遺産を一堂に展示した化粧品ギャラリー(文化資料室・大阪府大阪市)をオープン(2006年)し、市民に無料で開放している。

明治36年(1903年)に「化粧品は文化である」との信念で同社の前身「中山太陽堂」を創業した「創業者・中山太一氏」は、日本の近代化粧品史に大きな影響を与えた。その影響は、化粧品産業のみならず化粧文化や女性文化、広告文化など広範囲に及んでいる。
こうした創業者の事業活動や化粧品文化等を幅広く世間に伝承し理解を深めようと2006年に化粧品ギャラリーを開設。以来、企業遺産を市民に無料で開放している。

同ギャラリーでは、創業以来の歴史資料を「明治・大正」「昭和」「平成」の3コーナーに分けて紹介するとともに、時代の流れを反映した広告ポスターや商品ラベル等の複製史料を展示している。
特に、全国製産品博覧会で金牌を受賞するとともに、1910年の日英博覧会(開催地・ロンドン)において1等賞牌を受領した同社最初の製品「クラブ洗い粉」(洗顔料=写真)を展示している。
同洗い粉は、天然小麦パウダーを配合した粉末洗顔料。汚れを吸着し、しっとりとなめらかに洗い上げるほか、やわらかな使用感で刺激が少なく肌の弱い方でも安心して使えるのがミソ。
洗い粉の展示は、各博覧会の会場図、特設館や展示風景の写真、雑誌への挟み込み広告、整容美粧の様子等と一緒に展示。また、大正期から顧客と代理店向けに行なわれた懸賞やイベント、キャンペーンを示す写真、ちらしとポスター、絵看板などのほか、販売経路を定めた表と各契約に準じた化粧品の現品なども展示されている。

化粧品メーカーが、大正期の啓蒙的指標であった「文化的生活」を営むための諸活動に携わるとともに、近代的な販促戦略を創出していった過程を見ることができる。また、洗い粉は、2017年4月に日本化学会から近代化粧品工業の発祥を示す史料として化学遺産に認定されている。

この常設展示と合わせて今年4月から5月末までの1ヵ月間、今回で15回目となる企画展を開催中。
企画展は「文化としての化粧品 現在に受け継ぐ確かな思い」と題して、同社が企業活動を通じて発信し続けた文化を紹介する。

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