【連載】大手化粧品会社の研究㉔加美乃素本舗の会社研究 ~養毛剤に薬用植物、亜鉛等を配合し処方設計~(上)

2018.05.23

特集

編集部

株式会社加美乃素本舗(兵庫県神戸市、非公開)は、紙おしろいの販売を起源とする。1932年に養毛剤「加美乃素」を販売、1953年に加美乃素本舗と社名を変更し、現在に至る。

現在の事業は、化粧品、医薬部外品の製造・販売。製品構成は、頭髪化粧品80%、基礎化粧品その他20%となっている。また、育毛剤の売り上げは現在、男性向け6割、女性向け4割の割合。

主力商品の抜け毛予防専用ローション育毛剤「レディ―ス加美乃素」や「加美乃素Aシリーズ」等は、薬用植物成分として「カミゲンE」「カミゲンK」などの生薬抽出エキスを配合している。

カミゲンE・カミゲンKは
➀血行を促進し抜け毛を防ぐ
②細胞活性化成分「CS-ベース」が細胞のエネルギー代謝を円滑にして活性化する
③角質軟化作用で頭皮を柔軟にして有効成分の浸透をサポートする
④殺菌作用で雑菌の繁殖を抑え、フケ・かゆみを防ぐ
⑤抗ヒスタミン作用でかゆみを抑える
⑥メントールが地肌に清涼感を与えるなどの特徴を持つ。

CS-ベースには、頭皮の細胞を活性化し、頭皮の環境を健やかに整えるという嬉しい効果が期待できる。その他の成分との相乗効果により、フケやかゆみを防ぎ頭皮の過剰な皮脂分泌を抑えるという働きもある。

同社の育毛剤には、薬用植物成分カミゲンKや細胞活性化成分CS-ベースなど他の育毛剤ではあまり見られない成分が使われている点に特異性がみられる。同時に、抜け毛、脱毛の原因を多面的な角度から捉えた処方設計で頭皮・毛根の機能をサポートするなどの特徴がみられる。

亜鉛等を保湿剤として配合した育毛剤「ミネラルヘア」(写真)も注目される。「亜鉛が不足すると脱毛症が起こる」研究の中から開発したもの。
髪の毛の99%はタンパク質でできている。その、タンパク質を髪の毛に構成する役割が亜鉛。

植物が新陳代謝することによって生まれる物質「アラントイン」も成分として配合している。
ラントインは、ニキビなど肌の炎症に使われている。また、高い殺菌効果があるイソプロピルメチルフェノール成分を配合している。

こうした薬効成分の配合でミネラルヘアは、脱毛、頭皮の殺菌、紙のボリュームアップ等の効果を実現するなどネット販売の好調さにつなげている。

 

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