加齢による血圧上昇、欧米化された食生活が原因か?
2018.11.21
国際部
西洋の食生活の影響を受けていない南米のYanomami族の村では、加齢による血圧の上昇は見られなかったという報告が11月14日、ジョンズ・ホプキンス・ブルームバーグ公衆衛生学校からプレスリリースされた。調査報告の詳細は「JAMA Cardiology」に掲載された。
調査対象は、西洋食生活の影響がないYanomami族の72人(1~60歳)、近隣に住み、比較的西洋食の影響を受けているYekwana族の83人。Yanomami族はブラジル北部とベネズエラ南部の熱帯雨林地帯に居住し、狩猟採集や簡単な栽培を生活手段としている。食事は、脂肪と塩分が少なく、果物や繊維質が多い。1980年代以降の成人ヤノマミの研究では、アテローム性動脈硬化症および肥満は事実上確認されておらず、年を取っても平均的に低血圧であることが明らかとなっている。
同校の研究者らによると、西洋の食生活の影響がない南米全住民族の間では、1歳から60歳まで平均血圧は上昇しなかった。しかし、加工食品や塩分が多いYekwana族では、中年後半にかけての血圧上昇が確認されたという。「高血圧が加齢の結果であるという考え方は、心臓病学で広く受け入れられている。我々の知見は、高血圧が老化自体ではなく、西洋の食生活や生活習慣の影響であり、回避が可能であると考えられる」と、 同校疫学准教授のNoel Mueller博士は述べている。