幹細胞による豊胸累計症例数570 ~ 聖心美容外科東京院
2013.08.14
編集部
聖心美容外科東京院(東京都港区、統括院長鎌倉達郎氏、1993年設立)は、脂肪由来幹細胞移植を応用した自家脂肪による豊胸や顔のシワ、くぼみなどの美容医療に2007年から乗り出して以降、現在までの累計症例数(臨床実績)が570例に達するなど、脂肪由来幹細胞移植による美容施術の領域では世界屈指の症例を誇る。
こうした高い臨床実績を生み出す原動力になっているのが医師の高度な技術力と合わせて遺伝子添加や培養が一切不要で、脂肪から幹細胞を分離・抽出する全自動の脂肪由来幹細胞抽出装置「セリューションシステム」(写真左)や、脂肪から分離・抽出した幹細胞を窒素凍結する細胞バンク(写真下)の導入による高度医療の実現が大きい。
同院は、美容外科で初めて国際標準化機構(ISO)の品質保証認定(9001、2000)を受け、質の高い医療を提供できる管理体制を確立。また、患者との信頼を確立するインフォームドコンセントの取り組みとして成形の仕上がりをより“リアル”にシミュレートでき術後の変化も数値と画像で正確に計測・確認できる3Dシミュレーションシステムを導入、施術前に無料カウンセリングを行うなど顧客の信頼性向上に繋がっている。
ここへ来て中国からの患者数が今年の7月時点で昨年1年間の患者数に達するなど中国からの患者数が激増している。2011年4月に中国・上海に進出して日本流の施術を行うクリニックを開設したこと。今年1月から中国語の専用サイトを開設し、中国大陸や台湾にも高品質美容医療の情報を積極的に発信していることが奏功した。
細胞を扱う再生医療や美容医療が許可制から届出制に移行する中で、国内再生医療の市場規模は、2012年の90億円から2020年に950億円市場(経産省調べ)を形成し、新たなビジネス創出と成長産業の期待が高い。「当院では、全ての患者様に高品質の美容医療を提供するため5つの約束『安心・満足・信頼・納得・安全』を順守してより信頼され、支持される美容クリニックを目指して行きたい」(鎌倉達郎統括院長)としている。
同院は、医療法人社団美翔会が運営する国内9院、海外1院(上海)を合わせた10院(医師数16名)の中で、再生医療の中核施設。診療科目は、美容外科、形成外科、美容皮膚科、皮膚科で医師数は3名。
脂肪由来幹細胞を豊胸術に採用
聖心美容外科東京院 鎌倉達郎統括院長に聞く
―同院で行なっている脂肪由来幹細胞を用いた美容整形の実態から伺いたい
「幹細胞を使った再生医療は、私たちが本来持っている自己再生能力を最大限に活用する無限の可能性を秘めた医療です。新しい脂肪と新しい血管を作り出す働きがある幹細胞を用いた海外での再生医療は現在、心筋梗塞や糖尿病、骨の修復、豊胸などの疾患手術に応用され、飛躍的に臨床研究が進んでいます。再生医療分野に進出するきっかけは、2005年に九州中央病院で脂肪由来幹細胞を用いた再生医療の研究に携わったのを契機に2007年から当院で本格的に脂肪由来幹細胞による豊胸手術を始めました。
現在、当院で行っている脂肪由来幹細胞による豊胸手術は、脂肪組織から幹細胞を分離・抽出し、活性度を高めた上で脂肪と混ぜて胸に注入する施術です。濃度が高く活性度の高い幹細胞をバストに注入することで、脂肪の生着期間が長くしこりのリスクを最小限に抑える特徴があります。現在までの累計症例数は、570例にのぼり世界屈指の臨床実績を誇っています。」
―脂肪や血管を作る働きが活発な幹細胞の作製法と幹細胞を豊胸手術にどのように採り入れて施術していますか
「幹細胞は脂肪組織そのものに含まれますが、脂肪から幹細胞を分離させずに注入しただけでは、バストに脂肪の生着が悪く長期的に効果を持続できなくなります。また、しこり防止効果も十分に得られません。当院では、太腿やお腹などの部分から吸引した脂肪に含まれる幹細胞を脂肪や血管を作る働きが活発な幹細胞に仕立てるため、全自動で分離・抽出できる脂肪由来幹細胞抽出装置を利用して幹細胞を活性化させてから胸に注入しています。幹細胞を胸へ注入する理由は、幹細胞により乳腺周囲の血流が豊富になり、栄養が行きわたること。また、脂肪組織が継続的に生み出されて脂肪が長期間生着し、しこりを出来にくくする狙いによるものです。」
―採取した活性化の高い幹細胞の保管はどうされていますか
「遺伝子添加や培養が一切不要の自動抽出装置で分離・抽出した幹細胞を-150℃の窒素タンクで凍結保存しています。全てバーコードでID管理し、全行程において安全管理マニュアル(GTP)に則った管理体制により高い安全性を確保しています。幹細胞をあらかじめ備蓄しておく細胞バンクは、将来の疾患治療などで活用する『保険』として考えサービスを始めたものです。幹細胞は、加齢とともに細胞数や機能が低下するため、若い幹細胞とそうでないものは、治療結果に差が出る可能性があります。その意味で、幹細胞の採取年齢は、若いほど良い結果をもたらします。幹細胞医療全体が発展するための一端を担うことも私たちの使命と考えており今後、医療機関から申し出があればご本人の幹細胞を提供して行く考えです。」
―国際交流の推進や各国の美容・再生医療をどう見ていますか
「当院では、高い医療技術を提供するため、当院の医師が米国、中国、韓国などの形成外科学会などに参加して技術の研鑚、情報交換に努める一方、国際幹細胞ワークショップなどで当院の脂肪幹細胞移植の美容外科学的応用について講演するなど活発な国際交流を行っています。交流を深めている韓国は、国家プロジェクトとして美容医療ツ―リズムを実施し、海外の患者を積極的に受け入れるなど世界有数の美容大国に躍り出ています。韓国の医療機器承認の動きをみても韓国食品医薬品安全庁(KFDA)は、医療機器製造・販売を5年で承認するなど規制緩和しています。また、幹細胞再生医療では、米国の規制が厳しい半面、ヨーロッパは、脂肪幹細胞移植を応用した心不全治療や腎疾患治療、乳房再建などの臨床研究が活発に行われています。最近では、乳がんの乳房摘出による外科手術と乳房再建の形成手術の領域が狭まってきたこともあり、当院で行う脂肪由来幹細胞の再生医療を視察する国内の医療機関が増えてきました。脂肪から採取される幹細胞は、細胞増殖が速く再生を促成する因子を多く分泌して細胞環境調整機能が高いなどの特徴から今後、脂肪由来幹細胞を様々な治療疾患に用いる臨床研究が世界中で広がって来ると見ています。」
●聖心美容外科東京院鎌倉達郎統括院長プロフィール
宮崎県出身、1989年宮崎医科大学医学部卒業、1990年九州大学医学部附属病院勤務を経て2000年聖心美容外科に招聘。2003年聖心美容外科東京院院長就任。
- 参考リンク
- 聖心美容外科東京院